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「夫婦喧嘩の時がコミュニケーションのチャンス」と思ってはいけない

精神科医・水島広子先生に聞く、夫婦間のズレを解消するための効果的なコミュニケーション方法

■夫婦ごとの一番いいパワーバランスを大切に

 一方、最近はイクメンが当たり前になってきていて、育児を頑張っている男性があまり妻から評価してもらえない傾向にあるという話も聞く。自分の頑張りをアピールしたい夫は、どのようにしたら妻から褒めてもらえるのだろうか。
「結構育児をやっているはずなのに妻の機嫌が悪いという場合は、2通りの理由が考えられます。一つは、やり方がまずいということ。妻の方が上手で、本当に実力が伴っていない。それは繰り返してうまくなるしかないと思います。もう一つは、育児に対する全体的な関わり方が不満だということ。“このくらいで育児をやった気にならないでよ!”というような言葉がそれです。その場合は、妻を褒めて機嫌を取るというのが今すぐできる最善策です。妻の方が圧倒的に多くの育児を担っているので、“君は毎日こんなすごいことをやっているんだね”と、毎日の頑張りを褒めてあげましょう。そのうち、妻も夫のありがたみを感じて言葉にしてくれるはずです」

 

 たまに早く帰ってきて子供の人気を独占してしまったり、たまたま日曜日に家の前で子どもと遊んでいる姿を見て近所の人から「いいお父さんね」という評価を得るなど、思いもよらないところで妻から嫉妬され、恨まれてしまう場合もある。また、不機嫌な状態が子育て中の言い争いに反映されることも日常茶飯事。そういった子育て中のすれ違い、意見の相違をすり合わせるいい方法はないものか。
「その家庭をどちらが仕切って支配しているか、によりますね。だいたいの人は反論すると面倒臭いことになるから、“わかったよ”と支配者に譲って従っていると思います。家庭の支配者は、必然的に支配者になっていることが多いので、簡単に交代できたりしないもの。でも、自分が支配を続けていることで相手がいじけていると感じるのであれば、相手を盛り立てる何かをした方がいいと思いますね。バランスは大切です。ただし、平等の関係を目指すということではありません。支配するもの、されるものというパワーバランスはどの家庭にもありますし、それは夫婦ごとに全く違うもの。それぞれの一番いいバランスを大切にしましょう、ということです」

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水島 広子

みずしま ひろこ

精神科医、対人関係療法専門クリニック院長。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、二〇〇〇~〇五年衆議院議員を務め、児童虐待防止法の抜本的改正などに取り組む。著書に『トラウマの現実に向き合う』『女子の人間関係』など多数。


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  • 広子, 水島
  • 2011.12.22