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明治以前、改元の理由として「天皇の代替わり」より多かったきっかけとは

知ってそうで知らない日本の「元号」基本の“き”①

■元号の改元はどんな理由で行われたのか?

 日本では古来、元号の改元は天皇の詔書の布告によって行われてきた。明治期に入り一世一元の制が導入され、改元は天皇の即位の際にのみ行われるしきたりとなったのである。ただし、「元号」を決めるためには天皇の一存ではなく、大臣や大納言、中納言や参議といった朝廷の重臣たちが、世情や政情を鑑み文字案の是非を一々議論してから奏上し、天皇により決定された。

 

 改元される理由は、天皇の代替わりによって行われる「代始(だいはじめ)改元」、吉兆が現れたときの「祥瑞改元」、天災や戦乱などを排除するための「災異改元」、中国の予言学説に基づき異変が起こることを回避するための「革年改元」の4つに大別される。

 南北朝時代を含むか否かの解釈による違いはあるものの、これまで240余りある元号のうち「代始改元」は71回、「祥瑞改元」は15回、「革年改元」は30回。それ以外の約半数は厄災回避のために改元された。ちなみに明治以降は「代始改元」のみとなる。

〈雑誌『一個人』2018年5月号より構成〉

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所 功

ところ いさお

名古屋大学史学科・同大学院修士課程卒業。法学博士(慶大)。文部省教科書調査官を経て、京都産業大学名誉教授、モラロジー研究所研究主幹。著者に『皇位継承のあり方』(PHP新書)など、共著に『元号』『皇位継承』(ともに文春新書)など、編著に『日本年号史大辞典』(雄山閣)など。


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