“パパ以外”の自分も大事にしたい…「牛乳石鹸」の炎上CMをパパたちはどう見たか
「牛乳石鹸」のCM、共感できる部分とできない部分
●家族に縛られて自分を犠牲に…見え隠れするパパたちの本音
一方、「ときどき、家族に縛られすぎて、自分の人生を犠牲にしている感覚に陥ることがあるんですよね」と話すのは晃さん(仮名・35歳)だ。この言葉は「家庭的な男性の葛藤を描く」というPR動画の意図とぴったりと重なる。
「もちろん、家族の存在は自分にとって最も大切です。それは絶対に変わらない。でも、時には子どもや家族のイベントより、仕事や自分の感情を優先したくなるときがあります。この動画の主人公は、仕事で失敗した後輩に過去の自分を重ね合わせて、後輩をフォローするタイミングは今しかない、と感じたのではないでしょうか。そうだとしたら共感できる部分もあります」(晃さん)
炎上する原因となった「子どもの誕生に飲みに行ってしまう父親」というのは一面的な見方で、あれは「職場の先輩」という役割を果たそうとしている先輩社員の姿と見ることもできるという。
「子どもの誕生日に飲みに行くことは、当然批判されるべきで、炎上も納得できます。でも、パパに対する『常に家族を優先すべき』という風潮に息苦しさを感じることがあるんです。パパという役割はもちろん大切ですが、職場での役割や、友人との関係など、“パパ以外”の自分も大事にしたい。そんな主人公の気持ちはすごくわかりますね」(晃さん)
特集第二章のママたちのホンネでも紹介したように、妻たちは「ママ」を休憩する時間をほしがっていた。同じように、家族思いの夫にも「やさしいパパ」から離れる瞬間を求めているともいえるわけだ。
動画に否定的な意見を述べていたパパも「子どもの誕生日に飲みに行く」という設定に首を傾げただけで、動画のすべてを否定をしたわけではなかった。「炎上するのは仕方ない」としながらも、心のどこかで動画の父親に共感している部分があるようだ。
次回は、そんな「牛乳石鹸」のCMで描かれたテーマについて、ある一般男性に深掘りして話を聞く。