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外国人が目を丸くした日本の「絵文字」の豊かさ

絵文字進化論第1回【前編】

日本が生み出した文字文化「絵文字」は、日本人のみならず外国人をも虜にする。ロシア出身で、早稲田大学で日本の文字文化を学んだシャルコ・アンナさんが絵文字の歴史と魅力、そこから見えてくる日本人独特のコミュニケーションの特性を、他言語との比較を交えて迫っていく。第1回【前編】。

■絵文字は「表情を持ったメッセージ」

 2008年に初めて日本に来た時、日本の携帯電話の画面の大きさと、ずらっと並ぶカラフルな絵文字にカルチャーショックを受けました。当時、日本語の勉強真っ最中の20歳の筆者は、「こんなの子供っぽい、絶対使わない!」「絵よりは漢字を打ちたい!」と拒否反応を示していました。しかし10年経った今、SNSやメッセージアプリで☺や?を使わない日がないぐらい、絵文字にすっかり馴染んでいます。

 使ってみてわかってきたのは、絵文字はとても便利だということ。

 素早く、コンパクトに情報を伝えることができるだけではなく、これまでデジタルメッセージでは伝えにくかった、ジェスチャー??、イントネーション/表情??を表現することができます。これらはface-to-faceコミュニケーションでは大事な要素ですよね。言い換えれば、絵文字は「表情を持ったメッセージ」なのです。

 同じ文章でも、文末に付け加えたたった一つの絵文字によって、意味が変わることがあります。例えば、「やっぱりダメだった?」と「やっぱりダメだった?」。どうでしょう。受け手に与える印象は大分違ってきますね。筆者もよく、どの絵文字やスタンプを選ぶかに頭を悩ませています。

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シャルコ・アンナ

1988年生まれ。ロシア、シベリア地方出身。地元の大学で日本語を勉強し始めたことをきっかけに、日本の文字文化に魅了され、国費留学生として来日。2012年に早稲田大学の大学院に入学して、笹原宏之教授の元で日本語の文字・表記について研究を続けてきた。ポルトガル人と国際結婚して、1歳の息子を子育て中。現在はイギリスに在住。


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