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外国人が目を丸くした日本の「絵文字」の豊かさ

絵文字進化論第1回【前編】

■いまから30年以上前のPCにも絵文字はあった!

 ここで絵文字の歴史を少し振り返ってみると、実は携帯電話以前にも絵文字らしきものが存在していたことが分かります。絵文字のデジタル祖先にあたる表情やハートのアイコンが、1981年に発表されたIBMの最初のパソコンにすでに登場しているのです。見えるでしょうか。左上に白笑顔と黒笑顔、表情を表すイラストがあります。

写真を拡大 図1 左上。よーく目を凝らして見てみよう。IBM PC(1981)の記号セット 
出典:Wikipedia, Code page 437

図2 1991年にUnicode1.0に登録された白黒絵文字

 1991年に図2のスマイリーフェイスを含めて、100個以上の絵文字がUnicode1.0の「その他の記号」というブロックに登録されると、後にワードの「記号と特殊文字」から選んで打てるようになりました。

 携帯電話のメッセージに絵文字が広く使えるようになったのは、1999年に日本のNTTドコモによって176種類の絵文字のセットがリリースされたことが始まりです。そして2010年にAppleとGoogleの働きかけによって、日本の絵文字がEmojiとしてUnicode 6.0に追加され、日本国外での使用も可能となりました。さらに、スマートフォンに標準搭載されることで、2011年以降一気に世界中に広がっていくこととなります。

写真を拡大 図3 176種類の初期の絵文字セット  出典:ニューヨーク近代美術館公式サイトhttps://www.moma.org/collection/works/196070
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シャルコ・アンナ

1988年生まれ。ロシア、シベリア地方出身。地元の大学で日本語を勉強し始めたことをきっかけに、日本の文字文化に魅了され、国費留学生として来日。2012年に早稲田大学の大学院に入学して、笹原宏之教授の元で日本語の文字・表記について研究を続けてきた。ポルトガル人と国際結婚して、1歳の息子を子育て中。現在はイギリスに在住。


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