東京メトロ銀座線の大規模工事による特別ダイヤ体験レポート
駅構内の案内や電車の行先など、レアな表示があふれた3日間
2018年5月3日から5日までの3日間、東京の都心を走る地下鉄銀座線では、渋谷駅の大規模改修工事に伴い一部区間で電車が運休となった。
それに伴い、少々ややこしい特別ダイヤが組まれ、浅草~溜池山王間と青山一丁目~表参道間の2つの区間に分かれての運行を行うと発表された。趣味的には興味深いことであったので、実際に出かけて体験したことをレポートしてみたい。
大規模工事は、銀座線の西側のターミナルである渋谷駅で行われたので、単純に考えれば、お隣の表参道駅との間だけ運休すれば済むのでは?と考える人がいるかもしれない。しかし、表参道駅には下り線から上り線へ、上り線から下り線(銀座線では、浅草から渋谷へ向かう線路をA線、渋谷から浅草へ向かう線路をB線と呼んでいて、正式には上下線という表記は使っていない)へと車両を移動するための分岐器(ポイント)がない。渋谷から浅草方面へたどって行って最初に分岐器のあるのは、赤坂見附駅と溜池山王駅の間なのだ。それで、まず、溜池山王と浅草の間で折返し運転をすることになった。浅草から進んできた電車は溜池山王駅で乗客を降ろすと、回送で赤坂見附方面へ進み、分岐器を渡って浅草方面へ向かう線路に転線し、進行方向を変える。そして、溜池山王駅で客を乗せて浅草方面へ戻っていくのである。
休日の所用が終わった後、上野広小路駅から銀座線に乗車してみた。普段は渋谷行きの表示なのに、この日は溜池山王行きとなっていた。ホームの案内からは渋谷の文字が消え、溜池山王方面となっている。やってきた電車は、2編成しかないレトロ風車両。貴重である。どこかで途中下車してホームの表示を確認しようと思っていたのだが、珍しい車両なのでついつい長居をしてしまった。
銀座や新橋でかなり車内は空き、溜池山王駅の一つ手前の虎ノ門駅で途中下車した。この駅でも、案内から渋谷の文字が消えている。渋谷駅が廃駅になってしまったかのような錯覚に囚われた。
次の電車に乗ると、すぐに終点の溜池山王駅。ホームに降りると、予定通り電車は回送となって赤坂見附方面へと発車していった。しばらくすると、レトロ風電車は溜池山王駅の浅草方面行きのホームに戻ってきた。表示を浅草行きと変えて、しばらく停車した後、発車していった。