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高級住宅地・成城学園で見つけたレアな“英語”標識とは?

【毎月20日更新】世にも奇妙な道路標識 第13回:英語入り「徐行」標識にまつわる事情

■ 年季の入った「徐行」標識

 実際の例を見てみると、たとえば茨城県守谷市には、四角いプレートに印刷された変則型の「徐行」標識がある。「学童に注意」とあるから、上記の「学校が沿道にある場所」に当てはまるのだろう。ただ、この場所は歩道がしっかり区切られていて、他に比べてことさらに危険とも見えない。かなり古い標識のようなので、あるいは道路状況が悪かったころに設置されたものが残存しているのかもしれない。

写真を拡大 守谷市の「徐行」標識

 もうひとつ、こちらは茨城県笠間市、仏ノ山峠のふもとにあるもので、これも相当に年季が入っている。注意情報は物々しいが、ここはかなりゆるい峠で、整備状態も良好であるから、「カーブ、急な坂道その他」という基準には当てはまらないように見える。この標識も、峠道が未整備の時代に立てられたものである可能性が高そうだ。

写真を拡大 仏ノ山峠付近の「徐行」標識

 というようなわけでこれらの「徐行」標識は、今後整備の際には新型標識に取り替えられるのではなく、撤去される可能性がある。道路整備が進む現在、「徐行」標識がどうしても必要な区間は、減少傾向にあることは間違いないだろう。

 というわけでなかなか「SLOW」入り新型標識を拝む機会はなさそうだ……と思っていたら、どうやら都内に設置されたとの情報が入った。場所は、なんと成城学園の高級住宅地付近だという。何でまたそんなところに……である。

 住宅地の標識探索では、きょろきょろしながらカメラを構えて歩いていたため、不審者として警察に職務質問を受けた苦い過去を持つ筆者である。時節柄、不審者への警戒は強まっているだろうから、誤解を受けぬよう気を配らねばなるまい。

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佐藤 健太郎

さとう けんたろう

1970年兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手医薬品メーカーの研究職を経て、サイエンスライターとして独立。文系の読者にもわかりやすい解説で定評があり、東京大学大学院理学系研究科の広報担当特任助教として東大の研究実績を対外発信する業務も担当した。『医薬品クライシス』(新潮新書)で2010年科学ジャーナリスト賞、2011年化学コミュニケーション賞を受賞。著書はほかに、『「ゼロリスク社会」の罠』『化学で「透明人間」になれますか?』(ともに光文社新書)、『炭素文明論』(新潮新書)、『ふしぎな国道』『世界史を変えた薬』(ともに講談社現代新書)などがある。


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