「かまわぬ」「あさくさ」…江戸時代の判じ絵が面白い
絵文字進化論第1回【後編】
日本が生み出した文字文化「絵文字」は、日本人のみならず外国人をも虜にする。ロシア出身で、早稲田大学で「国字」を学んだシャルコ・アンナさんが絵文字の歴史と魅力、そこから見えてくる日本人独特のコミュニケーションの特性を、他言語との比較を交えて迫っていく。第1回【後編】。
■文字で遊ぶ・絵と文字を交ぜるという発想が判じ絵に
みなさんが友達にメッセージアプリでメッセージを送る時、その文章は「絵」と「文字」が交ざり合っていませんか? このような「絵と文字を組み合わせる、言葉と絵で遊ぶという発想」は、実はデジタル時代よりずっと以前にもあったのです。
日本が豊かな絵文字文化を生み出せた理由の一つとしてもこの「絵と文字で遊ぶ文化」があってのことだとよく言われています。
●「かまわぬ」
こうした発想は、実際に江戸時代の判じ物などに表れています。図1の写真を見てみましょう。これは、鎌の絵に輪の絵、そして「ぬ」という文字からなっている有名な判じ物です。読めるでしょうか? 鎌(かま)+◯(わ)+「ぬ」で「かまわぬ」ですね。江戸時代、町奴の間で流行した衣服の模様から来ている判じ物で、「お構いなし」「構うものか」を表したしゃれだとされています。
この「かまわぬ」は手拭のブランド名として親しまれてきました。外国人の観光客の間にも人気なお土産品です。