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脳性麻痺の彼女が障がい者専門デリヘルで働く理由

第3回 障害者の「性」

■自分も誰かの役に立ちたいという願い

 そのようなシステムやオーナーの人となりに信頼を寄せ、まゆみさんは安心して仕事に就けているという。

 子どもの頃から人の手を借りる必要のあったまゆみさんは、「ありがたい」という気持ちと「申し訳ない」という気持ちが同時にあり、自分も誰かの役に立ちたいという思いが強くあった。

 そして、「自分は何もできない駄目な人間」と何かをやる前にすぐに思ってしまう自分自身を、この仕事をすることで叩き直せると思ったそうだ。まゆみさん曰く「自分を売りにする仕事なので、自分を肯定する力、良いところを自身できちんと認め強みにする脳力が必要な仕事なので、私なんかなどと思っている暇などない。ネガティブな空気が漂っているキャストにお客がついてくれる訳が無い。とにかくまず自分を肯定し認め、芯からポジティブにならないと、良い時間は作り出せない」と気付いたと言う。番組内でも話されていたが、まゆみさんは以前交際していた男性と性行為がうまくできなかった。

 それは相手の男性がアダルトビデオや性的な情報を教科書と信じ込み、まゆみさんの身体的特徴を無視した体位ややり方を強いた為だ。散々強いて振り回した挙句にうまく事をできず「所詮脳性麻痺だな」とひどい言葉を放つ。まゆみさんの障害を承知の上そうしたというのに。

 相手は更には「セックスボランティア感覚」で関係を持ったと開き直る。後日頭を下げたのだが、謝罪の言葉を言い終え頭をあげるその彼の口元に浮かぶニヤツキを、まゆみさんは見逃さなかった。

 そんな経験をしているというのに何故に密室で裸で二人になる仕事をしようと思うのか?ともう一度尋ねてみたところ、「嫌な人にもたくさん出会ってきたけど、それと同じくらい良い人にもたくさん出会ってきた。だからどうしても人を嫌いになれない」と語る。

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善光 てら

よしみつ てら

障害者や介護や女性ならではの、さまざまなモノ・コト・ヒトについて書く。



乳癌サバイバー。介護福祉士。


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