「異端児」扱いされた世紀末のエアジョーダン。その理由は?【エアジョーダン秘史(15)】
1985年の1stモデルから今なお続くレジェンドバッシュのヒストリー。
第15回は、1999年発売の「AIR JORDAN 15」。
アッパーにはケブラーを配合したウーブン素材を採用。これにタンと一体式のインナーブーツを組み合わせることで、快適な足入れ性とフィット感を実現している。ヒールのプラパーツには、MJにまつわる3つの数字——背番号、優勝回数、モデル名が入っている。
その斬新すぎるカタチは
シリーズ中もっともアバンギャルド!?
アッパーにウーブンを初採用したパフォーマンスシューズ
AJ15のデザインは、ふたつの“フライヤー(飛ぶもの)”からインスピレーションを受けている。ひとつはこのモデルの主であるMJ、そしてもうひとつは超音速ジェット戦闘機のX-15だ。
外観上で目を引くのは、大型のヒールカウンターとミッドソールのシャンク。これらを採用することで、がっしりとした安定感を手に入れているが、ソールの屈曲性はかなり損なわれている。
一方、アッパーには新技術としてケブラーを配合したウーブン素材を使用。ウーブンはもともとカジュアルシューズ用に開発されたものだが、それをパフォーマンスシューズに使ったことは、かなり実験的な意味合い強いだろう。また、口を開いたように見えるメッシュ性のインナーブーツもかなりユニークだ。
なお、AJ13からデザインを担当してきたティンカー・ハットフィールドは、このモデルを最後にいったんAJのデザインから離れることになる。
硬いソールと柔らかいアッパーが特徴的
戦闘機をモチーフにしたAJ15は、エアロダイナミクスデザインが特徴だ。アウトソールにはヘリンボーンパターンを採用し、中央に大型のシャンクプレートを装備。また、これまでのモデルではヒールカップがシューズの内側に収められていたが、AJ15はそれを外に出し、この部分がプロテクター的な役割を果たすようになっている。非常に硬いソールに対し、アッパーは伸縮素材を使って柔らかく仕上げているのも、このモデルの特徴だ。
シリーズの中でも「異端児」的な扱いに
MJの引退後にリリースされたため、このモデルはコート上ではデレック・アンダーソン、レイ・アレン、マイク・ビビーなど、MJの意志を受け継ぐプレーヤーたちに愛用された。彼らが履いたモデルはシャンクの部分にチームカラーを使っているのが特徴だ。このAJ15は、まずミッドカットがデビューし、続いて同じソールユニットを使ったローカットがデビュー。さらに、これをベースにアッパーをスリッポン仕様にしたジョーダンモックという派生モデルも生み出している。’07年にはレトロモデルとして復刻も開始されたが、その過激すぎるデザインが敬遠される傾向にある。このAJ15は、シリーズの中でも異端児的モデルであると言えるだろう。
*参考文献『スニーカーJack Premium「まるごと1冊エアジョーダン23周年』(小社刊)