日本のネット界に蔓延る「ユートピア志向権力者共同謀議説」に御用心【藤森かよこ】
ユートピアの実現など夢見ている暇はない
こうして読むと素晴らしい案ばかりだ。この「経済安全改革法」が日本に適用されれば、JESARAになるわけであり、「徳政令」に「所得税廃止」に、日本国憲法に則ってすべてが為されることになる。
これらの経済金融システム改革がなされるために、この改革を阻止する既得権益を持つ勢力を排除する軍事行動が、ネットに書き込まれているように着々と表沙汰にならずに実践されているのだとしたら、私としても嬉しい限りだ。
一種の金本位制が実施されれば、従来の人為的に操作された通貨流通量の多寡による経済の大変動を避けることができる。財政政策の失敗によるインフレや、それによる預金封鎖に新円切り替えによって庶民が営々と築き上げてきた貯金がぶっ飛び無価値になることが避けられる。
上記の19項目の11番目の「アメリカ運輸局による家畜資産債権としての米国出生証明書記録の売買禁止」というのは日本人にとっては意味不明である。あるブログによると、アメリカでは子どもが生まれると社会保障番号が発行され、それを基にひとりのアメリカ人の一生分の労働力を担保にした(日本円換算で7,500万円相当の)債権が運輸局によって発行されるので、それを廃止するということらしい。【世界を救う】NESARA・GESARA法についてわかりやすく解説 (fieasia.net)
そんな法外なことがアメリカで為されているのかどうかは、私が調べた限りではわからなかった。
■ネサラ/ゲサラ法の起源説いくつか
ネサラ/ゲサラ法については、NESARA – Wikipediaによると、ルイジアナ州立大学システム哲学科の卒業生でエンジニアリング・コンサルタントで教師でもあったハーヴェイ・フランシス・バーナード(Harvey Francis Barnard:1941-2005)が1980年代から1990年代にかけて構想した経済改革案だった。
バーナードは自分の提案に『沼を干上がらせよ—貨幣と財政改革』(Draining the Swamp: Monetary and Fiscal Policy Reform,1996)という題名をつけ1000部印刷して米議会メンバーに送った。自分の案がすぐに議会に法案として挙げられ通過すると信じて疑わずに。
バーナードの度重なる試みにも関わらず、結局は議会の誰もバーナードの案に興味を示さなかった。彼の案がインターネットで公開されると、サイバーカルト(cybercult)と呼ばれるネット言論人たちのグループの関心を呼び、本来の真面目な経済金融システム改革案が、いわゆる陰謀論の格好のネタになってしまった。
以上がWikipediaの説明であるが、ヴァ―ジニア州リッチモンド在住の教育学修士号と神学修士号を持つブロガーのナンシー・B・デットワイラー(Nancy B. Detweiler)は、この説明はデタラメであると断言する。NESARA | IntoTheLight.news
デットワイラーによると、ネサラ法の形成は19世紀からの歴史がある。政府と連邦準備銀行(FRB)と金融資本家たちが結託して農民から農地を取り上げることに抵抗してきた農場主たちや、彼らに賛同する軍人たちの長い法廷闘争と、彼らの闘争に理解と共感を示した前述のハーヴェイ・フランシス・バーナードの尽力があった。
デットワイラーのブログのIntoTheLight.newsは、その法廷闘争の歴史を丹念に跡付けている。農協が農民に貸し付け、その借金返済のために農民が手離した農地を誰か有力者が安く買い取り、ゼネコンに注文し、ビルが建つような日本における農業潰しに似たプロセスは、アメリカでも19世紀から延々と続いてきたのだ。
その他にも、スピリッチュアル系で、いかにも荒唐無稽だが面白いネサラ法の起源もある。NESARA ネサラ (moo.jp) これは英語のソースを発見できなかったので、日本人の発見(洞察?)であろうか?
この説によると、ネサラ法は「宇宙協定」である。ネサラ法実現は、高度に進化した宇宙人の中でも、特に地球を見守っている銀河連邦(シリウス星、プレアデス星団、ケンタウルス座アルファー星、オリオン座)の意志でもある。アメリカが所有している科学技術と銀河連邦が持っている科学技術を合わせて、ネサラ法により人類の意識の次元上昇を実現しないと、このままでは地球と人類は滅びてしまうからだ。
しかしネサラ法がアメリカ議会で発表される予定であった2001年9月11日にあの事件が起きて、ネサラ法は宙ぶらりんになってしまった。ネサラ法実現を阻止したい勢力の力は大きく、その勢力は一般的にディープ・ステイトと呼ばれる。
しかし、2016年にネサラ法実現推進派のドナルド・トランプが大統領になり、ネサラ法実現への道が開かれたが、トランプは2020年の選挙でバイデンに敗れた。しかし、米軍とアメリカ国家安全保障局(NSA:NationalSecurity Agency)を味方にしたトランプはネサラ法実現を諦めていない。彼には強力な政治的同志がいる。それは1999年にロングアイランド沖の海上で消息を絶ち、海底で遺体が発見されたケネディ・ジュニア、あの暗殺されたケネディ大統領の息子である。彼は偽装死して敵も味方も欺いて生き延びてきたのである、ネサラ法実現の大義のために・・・
ここまで来ると、権力者共同謀議論が大好物の私でさえ、着いていくのが難儀になる。