新型コロナウイルス感染拡大を阻止できた勝ち組と失敗した負け組【篁五郎】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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新型コロナウイルス感染拡大を阻止できた勝ち組と失敗した負け組【篁五郎】

 

■インドに次ぐ、ロシアの知られざる悲惨な状況とは?

 

 3つ目の負け組はロシアである。

 自国内でワクチンを開発して接種させているロシアが負け組なのは意外な気がするが、平均で1日8,624人の新規感染者が報告されている。ピーク時から比べると約30%にまで落ち込んでいるので一見すると勝ち組のように見える。

 ところが、「公式」とされてきたのは政府のコロナ対策本部が出す数値で、昨年のコロナ関連の死者は約5万6000人。一方、連邦統計局は2月、死者は約16万2000人だったと公表されており、明らかに数値が異なっているのだ。対策本部の速報値に対し、統計局は確定的な死因診断書を基に集計したからと見られている。

 しかし、独立系メディア「メドゥーザ」は、モスクワ保健当局が昨年12月、市内の超過死者の98%がコロナによるものと根拠にし、全土で昨年中の超過死亡に当てはめるとコロナの死者数は30万人規模になると主張している。現在ロシア国内では、コロナが原因の死者は三つの説が混在している状況となっている。

 ロシア政府は医師に新型コロナウイルスの医療現場の情報を公にすることを医師らに禁じており、正確な情報が掴めていないメディアもあるようだ。

 そんな状況の中でプーチン政権は、国産の新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」の売り込みをしており、4月14日にセルビア、20日にはアルゼンチンでの生産開始が発表されている。8月には韓国、中国、インド、アルジェリアなどの製薬会社と現地生産を開始するが、肝心のプーチン大統領がワクチン接種を済ませていない

 正確な情報が届けられないのならば、いつパンデミックが起きてもおかしくはない。

 ここまでコロナの勝ち組と負け組についてピックアップして紹介してきたが、我が国日本は残念ながら負け組の一つといっていいだろう。昨年、ダイアモンドプリンセス号で新型コロナウイルス感染が発覚して以降、対応はすべて後手後手に回ってきたといっても過言ではない。

 すばやく水際作戦として海外からの渡航客受け入れ拒否もしくは制限をかけなければいけないところを当時の安倍首相はコロナウイルス感染中の中国の春節を祝福し、連休中と夏のオリンピック・パラリンピック開催中の日本へ訪日をお願いし、「多くの中国の皆さまが訪日されることを楽しみにしています」と呼びかけた。

 しかも感染経路を把握するためにPCR検査を増やさないといけない時期に検査を抑制し、経路不明になるという情けなさ。負け組の国がやってきた中途半端な対応、情報の隠避と正確性の低さ、水際作戦の失敗とダメのお手本をこれでもかとやってきている。

 変異種のイギリス型、インド型も発見されて第四波が起きている日本でこのままオリンピックを迎えられるのだろうか? はっきりいって世界中に恥をさらして終わることになるだろう。

 

文:篁五郎(たかむら・ごろう)

 

 

〈著者プロフィール〉

篁五郎(たかむら・ごろう)

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

 

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たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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