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第二次大戦の全期間を通じて高い評価を受けた「III号突撃砲」

駆逐戦車、突撃砲、自走砲~機甲戦を支えた「戦車殺し」の強力な助っ人たち

■III号突撃砲

短砲身24口径7.5cm砲を搭載したIII号突撃砲の初期型。車高が低く敵に狙われ難かったことがよくわかるカットだ。なお、乗員は「戦車兵」ではなく「突撃砲兵」であった。

 ・・・・戦禍の爪跡を大きく残した寒村を抜けて、坂道を登ると平地に出た。だが、そこにはすでにソ連軍の前哨のBT7が4両陣取っていた。

 前衛を務めるドイツ軍自転車中隊は、防御方陣を構築すると、その4辺の隅にそれぞれ1両ずつ、計4両の24口径7.5cm砲搭載のIII号突撃砲を配した。

 と、はたせるかなソ連軍は、この貧弱な方陣に対して、何種類もの戦車と歩兵を4方向から逐次ぶつけてきた。

「目標、正面のBT!徹甲弾装填!」

「装填完了!」

「フォイヤ!」

 咽頭マイクを押さえた車長が叫ぶと、目前まで迫っていたBTの車体前面装甲に一瞬、すみれ色ともオレンジ色ともつかぬ火花が走ってガクンと停車。砲塔の車長ハッチから、片腕が千切れてなくなったソ連軍車長が這い出すとそのまま草原に落ちた。

「目標、右の歩兵集団!榴弾装填!」

「装填完了!」

「フォイヤ!」

 榴弾の炸裂を正面からまともに食らったソ連歩兵5~6人が、血まみれのボロ雑巾のようになって吹き飛ばされた。

次のページ2時間ほどの間にソ連車両32両撃破

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白石 光

しらいし ひかる

戦史研究家。1969年、東京都生まれ。戦車、航空機、艦船などの兵器をはじめ、戦術、作戦に関する造詣も深い。主な著書に『図解マスター・戦車』(学研パブリック)、『真珠湾奇襲1941.12.8』(大日本絵画)など。


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