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第二次大戦の全期間を通じて高い評価を受けた「III号突撃砲」

駆逐戦車、突撃砲、自走砲~機甲戦を支えた「戦車殺し」の強力な助っ人たち

 

 かくしてペリカン中尉率いる第210突撃砲大隊第3中隊は、この方陣の戦いにおいて、2時間ほどの間にT34やBTを含むソ連戦車32両を撃破し、多数のソ連軍歩兵を抹殺。III号突撃砲の有用性を示したのだった・・・・

 歩兵戦闘の近接支援を目的とする突撃砲(Sturmgeschütz)は、智将エーリッヒ・フォン・マンシュタインの発案に基づくとされる。戦車の登場で歩兵戦闘も迅速化を促されたが、それの直接火力支援を主任務とする、機甲科ではなく砲兵科に所属するAFV(Armoured Fighting Vehicle の略。装甲戦闘車両)として、第二次大戦勃発前の1930年代半ばに構想がまとめられた。そして、主力戦車のIII号の車台を流用して完成した。

 当初は、当時の支援戦車であるIV号戦車と同系統の短砲身24口径7.5cm砲を搭載したが、歩兵支援のみならず対戦車戦闘の機会が増加すると、より対装甲威力が高いIV号戦車長砲身型と同系統の48口径7.5cm砲を搭載。旋回砲塔に代えてカーゼマット式固定戦闘室を備えるため、III号戦車の旋回砲塔には搭載できなかった大型の同砲が搭載できた。さらに大戦中期以降は、48口径7.5cm砲よりも榴弾威力が大きな10.5cm榴弾砲を搭載した型式も造られている。

 旋回砲塔こそ持たないが、低い車高で敵に発見されにくく標的面積も少ないIII号突撃砲は、戦車に勝るとも劣らぬAFVとして、第二次大戦の全期間を通じて高い評価を受けた。

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白石 光

しらいし ひかる

戦史研究家。1969年、東京都生まれ。戦車、航空機、艦船などの兵器をはじめ、戦術、作戦に関する造詣も深い。主な著書に『図解マスター・戦車』(学研パブリック)、『真珠湾奇襲1941.12.8』(大日本絵画)など。


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