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古代ローマ哲人が考える「もっともよい復讐の方法」とは?

天才の日常~マルクス・アウレリウス篇

いまも語り継がれる哲学者たちの言葉。自分たちには遠く及ぶことのない天才……そんなイメージがある。そんな「哲学者」はいかに生き、どのような日常を過ごしたのか? マルクス・アウレリウス編。

■哲人皇帝の言葉に学ぶ

 

 “もっともよい復讐の方法は自分まで同じような行為をしないことだ。”

 “物事にたいして腹を立てるのは無益なことだ。なぜなら物事のほうではそんなことにおかまいなしなのだから。”

 哲人皇帝として知られる古代ローマ帝国の皇帝マルクス・アウレリウスの言葉である。

 古代ローマ帝国の「五賢帝」の一人として数えられ、後世にも読みつがれたストア派哲学の名著として名高い『自省録』を著した彼は、19年の在位中、いつも苦悩と悲しみ、いらだちに苛まれ続けていたようだ。

 『自省録』とは元々、著書としてまとめるために書かれたものではなく、日々少しずつ、自分自身に対する戒めをメモとして書き残した断片を集めた書物である。

 
次のページ多くの日々を戦争に明け暮れ、遠征軍の戦陣で過ごした

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大賀 祐樹

おおが ゆうき

1980年生まれ。博士(学術)。専門は思想史。

著書に『リチャード・ローティ 1931-2007 リベラル・アイロニストの思想』(藤原書店)、『希望の思想 プラグマティズム入門』 (筑摩選書) がある。


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