薬の処方、精神科に入院…介護施設の現実は。 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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薬の処方、精神科に入院…介護施設の現実は。

【隔週木曜日更新】連載「母への詫び状」第二十二回

■忘れられないおばさんの言葉

連載「母への詫び状」第二十二回〉

 介護施設には、良い面もあれば、もちろん良くない面もある。以下は認知症の父親を特養に預けた男性の語りです。自分の親を施設に入れること。経験した者しか知り得ない現実を話してもらいました。今回の語り部はAさん。家庭や子供を持ち、認知症のお父さんは施設に預ける選択肢しかなかったと語るビジネスマンです。一部に偏見とも思える表現や登場人物が出てきますが、Aさん自身は介護施設への不平や不満を口にしているわけではないことに留意しながら、お読みください。

   * * *

 

「施設に入れるとね、命を縮めることになるんだよ」

 これは私のおばさんの言葉です。いつも、繰り返し言ってました。おばさんは田舎によくいる世話焼きの専業主婦で、介護の経験も豊富。義理の親から親戚の面倒まで全部、自分で見るような人でした。

 そんな人が「命を縮める」なんて言い方をするものだから、最初はドキっとしましたが、頭から信じていたわけではありません。介護施設というのは、昔は特に当たり外れがあっただろうし、当事者との相性もあり、すべての入所者がうまくいくわけじゃない。

 それでも最近は、充実した介護施設が以前より増え、働く人たちの意識も高くなった。昔のような姥捨て山のイメージで見てはいけないと思っています。

 私は施設信頼派で、介護はプロに任せたほうが安心だという立場でしたから、認知症の父は迷わず特養にお願いしました。それ以外の選択肢はなかったと思います。

 ただ、結果的にそれが良かったかどうか、父にとって安らかだったかと聞かれたら、YESとは言えません。

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夕暮 二郎

ゆうぐれ じろう

昭和37年生まれ。花火で有名な新潟県長岡市に育つ。フリーの編集者兼ライターとして活動し、両親の病気を受けて帰郷。6年間の介護生活を経験する。



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