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8月限定・夏の寺社行事

御利益倍増、8月の七夕、夜間参拝etc...。寺社行事の勧め

|8月こそ『七夕』の季節

宗像大社中津宮の「七夕祭」/写真提供・宗像大社

 日本の行事は本来、旧暦で行れるべきものだ。正月もひな祭りも端午の節句も、旧暦で行ってこそ真の季節感が味わえる。七夕もしかり。

 それを新暦で行うものだから七夕は梅雨のまっ最中で、天の川も拝めないということになってしまう(今年は早々と梅雨が明けたが)。旧暦の7月7日なら澄んだ空に散りばめられた星を眺めることができる。そもそも七夕は秋の季語なのだ。ちなみに、今年の旧暦7月7日は新暦の8月17日に当たる。

 8月の七夕は旧暦7月7日に行うところと、月遅れの8月7日に行うところがある。まず先に月遅れの例から紹介しよう。

宗像大社中津宮にある織女神社

 世界遺産に認定されて海外にも名が知られるようになった福岡県宗像市の宗像大社は、沖ノ島の沖津宮・大島の中津宮・本土の辺津宮という3つの社からなる。このうち中津宮には七夕の主人公の牽牛と織女を祀る社がある。ここから8月7日には七夕祭が島をあげて盛大に催される。

 藤原氏の氏神社として栄えた春日大社も、月遅れの8月7日に七夕節句祭を行う。古式神饌(神に捧げる御食事)に桔梗を添えてお供えし、天下太平・万民安楽を祈る。神事そのものは拝観はできないが、この日に参拝すれば恋愛運もアップするだろう。春日大社の公式サイトも「めでたい日ですので、参拝して祈祷等をお受けになる吉日でもあります」としている。

大国主神の国造りを助けた大物主大神を祀る大神神社

  大和国一宮でさまざまな神話が伝わる奈良県桜井市の大神(おおみわ)神社は、拝殿前に笹竹が立てられる。参拝者は短冊に願い事を書いて吊るすことができる。

785段の石段を登ったところに鎮座する金刀比羅宮本宮

 旧暦で七夕祭を行うところでは、「こんぴらさん」として親しまれている香川県琴平町の金刀比羅宮もユニークだ。

 金刀比羅宮の七夕祭は索餅(さくべい)祭という。索餅とは小麦粉と米粉を練って縄の形にし油で揚げたもので、奈良時代に唐から日本に伝わったお菓子だ。これをそうめんとともにお供えする。索餅は病気や災害を除ける霊験があるとされ、参詣者にも接待される。
 古代のスイーツで病気除けができるなんてありがたすぎる。

太宰府天満宮とともに全国の天満宮・天神社の総本宮とされる北野天満宮

 京都市の北野天満宮の北野七夕祭は8月4日~16日と期間が長い。しかも、その間に御手洗川足つけ燈明神事・国宝御本殿石の間通り抜け神事・御土居ライトアップ・泣き相撲など神事・イベントが盛りだくさんだ。なお、北野天満宮の七夕祭は棚機祭とも書き、西陣などの機織りの祖神を祀る祭としての性格もある。

■Access
 『宗像大社』  
  ・辺津宮→JR鹿児島本線・東郷駅よりバス、宗像大社前下車
  ・中津宮→東郷駅よりバス、神湊波止場下車、フェリー
 『春日大社』
  ・JR、近鉄奈良駅よりバス、大仏殿春日大社前下車
 『大神神社』
  ・JR桜井線・三輪駅より徒歩5分

   『金刀比羅宮』
  ・JR土讃線・琴平駅より徒歩20分
 『北野天満宮』
  ・JR京都駅などからバス、北野天満宮前下車すぐ
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渋谷 申博

しぶや のぶひろ

日本宗教史研究家

1960年東京都生まれ。早稲田大学卒業。
神道・仏教など日本の宗教史に関わる執筆活動をするかたわら、全国の社寺・聖地・聖地鉄道などのフィールドワークを続けている。
著書は『聖地鉄道めぐり』、『秘境神社めぐり』、『歴史さんぽ 東京の神社・お寺めぐり』、『一生に一度は参拝したい全国の神社』、『全国 天皇家ゆかりの神社・お寺めぐり』(G.B.)、『神社に秘められた日本書紀の謎』(宝島社)、『諸国神社 一宮・二宮・三宮』(山川出版社)、『眠れなくなるほど面白い 図解 仏教』(日本文芸社)ほか多数。

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