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日本唯一の「サバ麺郷土食」
滋賀県「焼鯖そうめん」の魅力にせまる!

サバジェンヌの 日本全国ごちそうサバです!⑧

■京都へ続く鯖街道の
 「おかずになる」焼鯖そうめん

正さんが手作りしたへしこは店内でも販売。大根とあえたり、焼いたりと朽木では欠かせない郷土の味

 続いて、焼鯖そうめんを求めて向かったのは、湖西地区。

 滋賀県高島市朽木地区は、かの福井県若狭と京都を結ぶ「鯖街道」の宿場町だ。朽木の山間に位置する「味処 花ごよみ」の看板メニューは、上田妙子さんが作る「焼鯖そうめん」。

 やはり、鯖街道の町では「サバは身近な存在。子供のころは、小浜からサバを入れた籠を背中にしょって売りにくる女性の姿をよく見かけたものでした」と妙子さんのご主人である上田正さんが語る。

「焼き鯖はよく食べますね。買ってきたものを温めなおして、しょうが醤油をかけて食べると、ごはんも、お酒もすすむね(笑)。サバをぬかに漬けたへしこも日常食ですね」と正さん。林業のかたわら、自ら1000匹ものへしこを漬け込んでいる。

サバのなれずし。日本酒のつまみにも、「風邪薬」としても(!)大活躍

 また、サバと炊いたご飯を漬け込んだ「サバのなれずし」もよく作られているという。「この辺では『風邪をひいたらなれずし』なんです」と正さん。

「えっ?」と思いつつも、なれずしのお湯割り(?)をいただく。

 少しクセがあるが、たしかに身体がいきなりポカポカしてきた。山間の町でサバは「健康食」としての一面も担っていたのだ。

一人前分に切った焼き鯖を、酒、しょうゆ、みりんで煮る

 そして、焼鯖そうめんは朽木でも昔から、お祭りで欠かせない料理だという。妙子さんは京都出身で、嫁いではじめて焼鯖そうめんを食べたのだそう。「お義母さんが作るのを見ておぼえました」。

 妙子さんがお店で提供する焼鯖そうめんは、地元朽木で作られた焼き鯖を1人前分に切ってから作る。

 鍋に酒を入れて煮立ててから、醤油と砂糖を入れて焼き鯖を煮る。だしは使わない。「昔はいまみたいに調味料が、あまりなかったからでしょう。春には、わらびやふきと焼き鯖を煮物にしたものもよく食べます。サバのだしがしみてとても美味しいの」と妙子さん。

花ごよみの「焼き鯖そうめん」。こってり煮上がったサバもそうめんも極上の味わい! 近所のみなさんも絶賛する美味しさ

 器にそうめんを盛り、サバをのせて完成。「できたてを食べるのがおすすめ。さあ食べて!」と妙子さんにすすめられて、アツアツの鯖そうめんをいただく。煮汁がしみたサバは、ホクホクとろり。サバの旨みをまとって煮上がったそうめんは、ほどよくこってり。なんとも懐かしい「お惣菜風」。これは、まさに「おかず」になるそうめん!「焼き鯖でごはん食べて、鯖そうめんでごはんを食べるんです(笑)」と正さん。「あとね、焼鯖そうめんは祭りのときだけではなくて、ふだんからなあんか、ふと食べたくなる味なんです」。

 そう、焼鯖そうめんは、「茶色い幸せ」が凝縮した味わいなのだ。

 滋賀のソウルフード・焼鯖そうめん。

 イメージではなかなかピンとこないと思うが、一度食べるとときどき「あ、また食べたい…」とじわじわ押し寄せてくる「後引きグルメ」だ。そして、その味わいを都内でも堪能できるチャンスが到来! 8月1日から滋賀県アンテナショップ「ここ滋賀」2階のレストラン「日本橋 滋乃味」で、焼鯖そうめんが提供される。

 ぜひ、唯一無二の「サバ麺郷土料理」を味わい、ほっこり癒されるとともに、夏バテも撃退していただきたい。

【花ごよみ】
■滋賀県高島市朽木荒川 870-2
■TEL:0740-38-2377
http://www.e-tuchi.com/original4.html

上田正さん、妙子さんご夫妻。林業を営む正さんこだわりの「木をいかした」お店の内装も必見!

【日本橋 滋乃味】
■東京都中央区日本橋2丁目7-1「ここ滋賀」2F
■TEL:03-6281-9871
https://cocoshiga.jp/restaurant
※焼鯖そうめんはディナーのみ提供。

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サバジェンヌ・池田陽子


 



サバを楽しみ、サバカルチャーを発信し、サバで日本各地との交流をはかることを趣旨に活動し、イベント「鯖ナイト」を実施する「全さば連」(全日本さば連合会)広報担当「サバジェンヌ」。本業は薬膳アテンダント/食文化ジャーナリスト。著書は『ゆる薬膳。』(日本文芸社)、『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)など多数。最新刊は『サバが好き! 旨すぎる国民的青魚のすべて 』(山と溪谷社)。

■全さば連公式HP→http://all38.com 

■池田陽子www.yuruyakuzen.com


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