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日の目を見なくなった「モータースポーツ」栄枯盛衰

キーワードで振り返る平成30年史 第18回

■平成初期のモータースポーツは凄まじい人気だった

 

 価値観の様変わりというのはいつの時代もあるもので、たとえばつい最近まではやる方はともかく見る方としては全くのマイナー競技だった卓球やバドミントンは、オリンピックなどの国際大会での日本人選手の活躍もあって、今やすっかり人気種目となった。

 その一方で、かつては大きな人気を博していたのに最近はすっかり注目を浴びなくなったスポーツがある。モータースポーツだ。モータースポーツを純粋なスポーツと同じ括りにすることに抵抗がある人もいるだろう。しかし乗馬やヨットがスポーツであるのと同じようにモータースポーツはやはりスポーツであり、レーサーや競技ドライバーもまたアスリートである。

 平成初期のモータースポーツの人気は、それは凄まじいものだった。筆頭は、屋根なしタイヤむき出しのカートスタイルのまさに速く走るためだけに作られたマシンで競われるF1GP(グランプリ)。昭和末期の昭和62(1987)年、フジテレビが全レース地上波中継を開始したことにより人気に火がついた。中嶋悟の日本人ドライバーとして初のシリーズフル参戦、1983年からのホンダのエンジンサプライヤーとしての第二期F1参戦、さらにキャノンを始めとする日本企業のスポンサード。そして10年ぶりの日本GP開催と好条件が重なったことも大きかった。このときのF1中継でフジテレビがオープニングにつかった曲がフュージョンバンドTHE SQUAREの「TRUTH」。「F1grandprix  in ○○(開催地名)」という小林克也のコールも実にかっこよかった。F1人気は自動車レースの他のカテゴリーにも波及。下位カテゴリーであるF3000さえも地上波中継された。

 
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後藤 武士

ごとう たけし

平成研究家、エッセイスト。1967年岐阜県生まれ。135万部突破のロングセラー『読むだけですっきりわかる日本史』(宝島社文庫)ほか、教養・教育に関する著書多数。


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