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外資系企業で働く日本人がぶちあたった「鎖国的なロジック」

ここだヘンだよ、日本のサラリーマン②:外資系勤務の日本人サラリーマンの場合

日本と欧米のサラリーマン社会の交差点で、多くの経験を積んできた筆者が、多角的に改めて日本のサラリーマン社会を分析してみた。「ここだヘンだよ、日本のサラリーマン」シリーズ第2回は、日本の外資系企業で働く日本人サラリーマン。

■実務レベルでの「鎖国的なロジック」

 

 商社で働いていた父の勧めから、アメリカの大学を卒業し、その後は金融関係の日本にある外資系企業で働く、下田さん(仮名。40代男性)は、日本のサラリーマン社会をどのように見ているのだろうか。日本側と本社側の利害関係の間に挟まれることが多いというのが、普段の仕事上の一番の悩みだという、下田さん。日本のサラリーマン社会のヘンだと思う点を、外資系企業で働く日本人という視点で語って貰った。

「私が関わってきた仕事で言うと、欧米とは違うロジックで業界全体が動いているケースがよくあり、ここを本社のアメリカ人やその他の欧米人に理解して貰うのによく苦労します。例えば、業界内の各企業の力関係や、契約の結び方など、日本市場だけ独立した鎖国的ロジックで物事を進めなければならない場面は幾度となく経験してきました。日本独自の法律に縛られているのは分かりますが、実務レベルで、とにかく鎖国的なロジックが多い印象です」

 規制の多い金融業界で働くだけに、普段の仕事に法律から来る規制が関係することも多い。では、実務レベルでの鎖国的なロジックとは、具体的にはどういったロジックが存在するのだろうか。

「例えば、最近は個人情報の取り扱いに慎重になる必要があり、その中でも個人顧客のマイナンバーの取り扱いについて、妙なロジックが成り立っている話しを聞いたことがあります。取引先の日本企業が、取り扱いが大変だからという理由で、個人顧客のマイナンバーの保管が必要な必要になる商品の開発を諦める、というケースを何件か目にしています。

 ヘンだと思うのは、その商品を取り扱うことで得られる利益を考えれば、マイナンバーを合法的に取り扱う為の手間など、それほど大きなものではないということです。この部分で失敗するとエラいことになる、とネガティブな心配に走り、本来やるべきビジネスを諦めている例を何件か見た事があります。マイナンバー以外にも、失敗するとエラいことになる部分など金融業界には幾らでもあるのに、個人情報、というキーワードに過剰に反応してしまっているのですかね」

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竹鼻 智

たけはな さとし

1975年東京都生まれ。明治大学経営学部卒、Nyenrode Business Universiteit(オランダ)経営学修士。2006年より英国ロンドンに在住。ITコンサルタントとジャーナリストのフリーランス二足の草鞋を履きながら活動し、「ラグビーマガジン」(ベースボールマガジン社)、「Number」(文藝春秋)、「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)へのコラム執筆など、現地からの情報を日本へ向けて発信。BEST T!MESでは、イングランド代表HC、エディー・ジョーンズ氏の連載「プレッシャーの力」の構成を担当。


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