高い汎用性で生き残った“ツェルステラー”(メッサーシュミットBf110:ドイツ)
技術力で明暗が分かれたその栄光と凋落②
爆撃機の護衛、対地攻撃、偵察など、 マルチタスクをこなした異形の戦闘機に肉迫!
連載第2回。
連載第2回。
■Bf109に続き、制式化されたBf110
ドイツ空軍は1930年代中頃、のちに世界標準の戦技となるが、当時は世界初ともいえるヒット・アンド・アウェー式の空戦をいち早くその戦い方のメインに採り入れた単発戦闘機、メッサーシュミットBf109を生み出した(2018年03月14日配信:ドッグファイトの終焉…世界初のヒット・アンド・アウェー式戦闘機として誕生した「Bf109」:参照)。
さらにドイツ空軍はBf109に続き、敵地上空に侵攻して航空優勢を獲得したり、爆撃隊の露払いとしてその進撃空路上に出現する敵機を掃討する任務を帯びた、航続距離の長い双発戦闘機の開発を求めた。これを受けたメッサーシュミット社、ハインケル社、ヘンシェル社がそれぞれ試作機を造り上げたが、空軍の性能要求仕様に忠実に従った後2社の試作機は凡作となってしまった。
ところがメッサーシュミット社(2018年03月07日配信:20世紀ドイツ軍の傑作戦闘機「メッサーシュミットBf109」誕生秘話:参照)が性能要求仕様を無視して造った試作機が当時としては優れた性能を発揮し、Bf110として制式化。同機をいたく気に入った空軍総司令官ヘルマン・ゲーリング国家元帥自らが、海軍の駆逐艦と同じ“ツェルステラー(Zerstörer:駆逐機の意)”の名称を与えたと伝えられる。さらに彼は、特に優秀なパイロットをBf110装備部隊に配属するよう求めたという。
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