トライアウトを受けるまで
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記! <2>
決心するまで1カ月。その間に考えていたこと。
一瞬よぎった発見に近い感覚
大真面目に考えていたわけではないけれど、瞬間的に相反する思いが頭の中をよぎったことを覚えている。
ひとつは、「まあ、それはないよな」ということ。
もうひとつは、「あ、NPB以外にもプロ野球があるんだ。昔より、プロへの入り口は広がってるんだ」という発見に近い感覚。
でもそれも一瞬のことで、なんとなく会話を続け、いわゆる飲み会のちょっとしたネタとして話は終わっていった。
まあ、いつもと変わらない飲み会の、他愛もない話だったわけだ。
8月だから甲子園が一番盛り上がっている時期だった。
テレビをつければ真剣に白球を追いかける球児の姿に目を奪われる。僕が高校球児だった頃から数えて20年以上が経っているのに、なにかいつもの夏と違う感覚があった。
「独立リーグだってプロ野球選手だ」
あの発見が影響をしていたのかどうか、それは分からないけど一つ一つのプレーに例年以上に熱くなる自分がいた。
「やっぱり野球がやりたいのかな?」
そんな思いが胸のうちから、ふつふつと湧いてきた。