トライアウトを受けるまで
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記! <2>
決心するまで1カ月。その間に考えていたこと。
重なった偶然
いま思えば、偶然というのは重なるものだな、と思うのだけど、たまたまそんなとき、学生時代のアルバムを見る機会があった。
小学校のアルバム。
「将来の夢はプロ野球選手」
と書いてあった。
そして高校時代のアルバム。
「プロ野球はやめてお笑い芸人になる」
とあった。
「そっか、そうだった」と思い出した。
僕は帝京高校という高校野球の超名門高校で野球をしていて、ひとつ上の世代は甲子園で優勝を果たしていた。ピッチャーとして甲子園のマウンドを目指していたけれど、スピードしか取り柄がない僕は、結局ベンチ入りすらできなかった。名門の過酷な練習と、マウンドに上がれなかった現実は、僕に「プロ野球選手」の夢を諦めさせたんだ、と。
もちろん、これは当時の僕の言い訳に過ぎないし、お笑い芸人になりたいという夢が半端な気持ちだったわけではない。
ただ、確かに「夢を諦めた瞬間」があったのだ、と思い出したのだ。