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成果があがらない人に持ってほしいトヨタ式「なぜ?」の思考

トヨタ式5W1H思考・カイゼンの極意

■「やめて影響のないものはやめてしまえ」

 Bさんも「ムダな書類に気づいた」ことをきっかけに、「やめて影響のないものはやめてしまえ」という運動を展開した結果、何百もの書類、何百もの仕事を見直すことができたといいます。

「ムダな書類」をつくるのも、「必要な書類」をつくるのもかかる時間は似たようなものですし、そのための手間も大変なものです。にもかかわらず、せっかくつくった書類を誰も読まないし、誰も活用しないとすれば、そのための時間はまったくの「ムダ」になります。これではやりがいなど生まれるはずもありません。ムダな仕事をさせること、それは「命をムダ遣いする」ことでもあるというのがトヨタ式の考え方です。

 個人でもそうですが、ものというのは放っておくといつの間にか増えてしまう傾向があります。どこかで「捨てる」とか、「整理整頓する」という決断をしない限り、ものは増え、収拾がつかなくなりますが、それは仕事についても言えることなのです。

 一旦始めた書類作成や仕事は、誰かが「もうやめていいよ」と言わない限り、ずっと続けがちです。そしてその積み重ねが「忙しさ」を生み、「時間」を奪っていくのです。

 トヨタ式をベースとする生産改革を行っているC社は定期的に書類や仕事の棚卸しを行っています。「なぜ資料が紙量や死量になってしまうのか?」の原因の一つは「一つひとつの資料や仕事についての『なぜ』『何のため』という問いかけが足りないから」です。「なぜ」と問いかけた結果、「お客さまのいない書類や仕事」に気づいたら、それは「ムダ」として「整理」することが大切だというのがC社の考え方です。

 今、書類作成などの仕事に追われ、「忙しさ」を感じている人は、「これは何のため?誰のため?」「なぜこの書類を作成するのか?」を問いかけてみてはいかがでしょうか?そうすることで必要なものと、ムダなものを見つける目を養うことができれば、あなたの働き方は確実に改善できるはずです。

 より良い仕事やより良い生き方は一つひとつに「なぜ」と問いかけることから始まるのです。

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桑原 晃弥

くわばら てるや

1956年広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者、不動産会社、採用コンサルタント会社を経て独立。人材採用で実績を積んだ後、トヨタ生産方式の実践と普及で有名なカルマン株式会社の顧問として、『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』(成美文庫)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』(PHP新書)などの制作を主導した。著書に『スティーブ・ジョブズ名語録』(PHP文庫)、『ウォーレン・バフェット成功の名語録』(PHPビジネス新書)、『伝説の7大投資家』(角川新書)、『トヨタのPDCA+F』(大和出版)など。バフェット関連書籍多数。


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