自己啓発書より「確かなもの」を。作家が突如僧侶に転身したワケ
向谷匡史氏インタビュー②
■失敗という概念はない
――軽はずみの選択で失敗はない?
失敗という概念はないのです。つまり、明日死ぬのなら今日の失敗は明らかな失敗かもしれませんが、まだ何年も生きているのであれば、それが失敗かどうかはその時点ではわかりません。「塞翁が馬」というのと同じで、失敗なんてない。どの時点で自分の行動を評価していくかの違いだけの話です。
――確かに。そう考えると気持ちが楽になります。最近は何かとネガティブな人が増えていますから…。
人間、二通りあって、“かくあらねばならない”とか、“こういうのが幸せだ”とか、“こういうのが楽なんだ”というものを決めて、それを具現化するような生き方をする人と、今ある現実の中で楽しいものを見つける人がいます。後者のほうがやっぱり楽じゃないですか。だから幸せというのは見つけるものではなく気づくもので、面白いということは、どこかに面白いものが転がっているのではなく、面白がることだと。ある現状の中で何をチョイスしていくか、それだけの話なので、そうすれば世の中、不幸なことなど何もないわけです。
〈第3回に続く〉
- 1
- 2