『新潮45』廃刊の真相と小川榮太郎氏の正体とは(後編)
放置しておくと、自分たちのクビを絞める結果になる
■出版界のモラルの低下
新聞や雑誌に載る文章と便所の落書きの一番の違いは、編集者や校閲のチェックが入っているかどうかだろう。
大手出版社の本が売れるのは、最低限の品質が確保されているという信頼があるからだ。
しかし、最近の傾向だが、極端に頭が悪い人たち、ネトウヨのブロガー、デマゴーグの類が、言論界に入ってきてしまった。出版不況が続く中、ビジネスと割り切り、モラルを完全に投げ捨てる編集者も増えた。
宗教団体の教祖の本が売れるのは、教団が大量に買い上げたり、信者が組織的に紀伊国屋新宿本店や八重洲ブックセンターで購入することで、新聞の書評欄の売れ筋ランキングに載ったりするからだ。その本の広告を打つこと自体が、教団の宣伝にもなる。
小川がこれまで書いてきた安倍のヨイショ本も同じ構造である。
党が組織的に本を買い上げる。そしてその資金で大きく広告を打つ。
それこそ「窓割れ理論」である。
自分で原稿を書かないどころか、ゲラのチェックさえまともにしない外国人弁護士などに記事を書かせているうちに、『正論』『WiLL』『Hanada 』といった特殊な雑誌でしか通用しないライターが一般誌にまぎれこむようになった。
『徹底検証「森友・加計事件」朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』という小川の本がある。
「加計学園問題は更にひどい。全編仕掛けと捏造で意図的に作り出された虚報である」「今回は朝日新聞が明確に司令塔の役割を演じ、全てを手の内に入れながら、確信をもって誤報、虚報の山を築き続けてゆく」などと鼻息が荒いが、朝日新聞に逐一反論されていた。本文には「現時点では取材拒否が多く」とあるが、朝日新聞は「弊社の取材窓口にはもちろん、弊社の取材班にも、貴殿からの取材申し入れはこれまで一度もありません」と反論。
これも「司令塔」による陰謀論の類だ。
ではなぜこんな本が出てしまったのか?
「11月17日ごろ、自民党所属の国会議員のもとに、差出人が『自由民主党』とだけ書かれた書面と一緒に“ある本”が届いたんです。各都道府県にある自民党の支部連合会にも、段ボールに詰めて100部ずつ送られてきました(自民党ベテラン秘書)」「党が全部で5000部以上購入したようです。一緒に送付されてきた書面には『ご一読いただき、「森友・加計問題」が安倍総理と無関係であるという真相の普及、安倍総理への疑惑払拭にご尽力賜りたい』という旨が記されていた」(『FRIDAY』2017年11月24日)。
要するに、そういうビジネス。
小川は「朝日新聞よ、恥を知りなさい」 と言うが、恥知らずはお前だろう。