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なぜ、みんな「埼玉」の虜にならないのか

ファンが"聖地巡礼"、現代ならではの観光地

■何もないといわれがちな埼玉の魅力

 

 日本各地には魅力的な観光地がたくさんあり、各都道府県に1つは名所があるものだ。たとえば東京なら浅草、お台場などが定番であり、京都は街全体が観光地といえよう。都道府県名を聞けば、行ったことがなくてもその土地にある観光名所を思い浮かべることができるのではないだろうか。

 しかし、首都圏ながら、観光地がぱっと思いつかない県がある。それは、筆者の地元である埼玉県だ。関西や東北に住む友人からは「埼玉に何があるかわからない」といわれてしまう。東京にも近く、非常に暮らしやすいと感じているのだが、たしかに誰もが知る観光地は少ないかもしれない。そこで今回は、埼玉が誇る観光地を紹介したい。

 

 自然を楽しむなら、秩父エリアがおすすめ。ライン下りを楽しめる長瀞渓谷や、その下流にある玉淀湖、石龍山橋立堂に隣接する竪穴の橋立鍾乳洞など、都心の近くながら豊かな自然に触れることが可能だ。霊験あらたかな地としても知られ、縁結びで有名な秩父神社、神秘的なパワーを授かるといわれる三峯神社なども存在する。

 秩父には"祭りの町"としての一面もあり、毎月のように行われている。10月第2日曜日に開催される「龍勢祭」は龍勢といわれる手作りロケットが打ち上げられ、その様子がアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』で紹介されたことで話題を集めた。埼玉にはほかにも、『クレヨンしんちゃん』(春日部市)、『らき☆すた』(久喜市)などアニメの舞台が多く、ファンが"聖地巡礼"を楽しんでいる。これも現代ならではの観光地といえよう。

 日本史の教科書にはあまり登場しなかった埼玉だが、歴史的なスポットも少なくない。その代表的なものといえば、行田市の忍城ではないだろうか。石田三成の水攻めにも屈せず、難攻不落の城として恐れられた。当時の天守閣は存在しないが、御三階櫓は復元されている。秋になると、外堀を利用した水城公園にホテイアオイが咲き誇り、薄紫の花が一面に広がる光景は圧巻だ。

 同市には、稲荷山古墳をはじめとする9基の巨大古墳が残る「さきたま古墳群」もあり、古代文化にも触れることも可能だ。

 ほかにも、小江戸といわれる川越は街歩きが楽しめるし、さいたま市の盆栽は外国人にも人気が高い。実物の車両展示やシミュレータ体験ができる「鉄道博物館」(さいたま市)には、全国から鉄道ファンが押し寄せる。

 何もないといわれがちな埼玉だが、じつは興味深い観光スポットがたくさんある。東京に近いことから素通りされてしまいがちだが、一度はその魅力を体験してほしい。

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