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神様にまつわる名字が多いのは実に日本らしい

珍名さん万歳⑲

日本全国に数多ある名字に高校生の時から興味を持ち、研究を始めた高信幸男さん。自身が全国を行脚し出会ってきた珍名とそれにまつわるエピソードを紹介する。

■「神」に関する名字

 

 10月は神無月(かんなづき)と呼ばれ、全国の八百万の神が出雲大社に集まると言われている。一方で、出雲は神が集まることから神在月(かみありづき)とも言われている。日本は昔から神を崇拝する国で、自然を司る「山の神」や「海の神」「水の神」「火の神」など様々な神を祀っている。

 

 名字の中でも神に関する名字は多い。それは日本人が神に対して強い思いがあるからと考えられる。全てが神になってしまう。たとえば、妻神(さいのかみ)や男神(おがみ)・姥神(うばがみ)・恐神(おそかみ)・鬼神(おにかみ)・竜神(りゅうじん)・星神(ほしかみ)・銭神(ぜにがみ)・軍神(ぐんしん)・氏神(うじがみ)などである。神を祀る場所には、神社・神宮・大社とあるが、これらは祀られている神様の種類によって使い分けられている。一般に、神宮は人(天皇)を祀り、大社は自然を祀っていると言われている。名字には、神社(じんじゃ)・神宮(じんぐう)・大社(おおこそ・たいしゃ)全てがある。

 また、それぞれの神宮や大社の名前を使った名字がある。神宮では明治(めいじ)・伊勢(いせ)・鹿島(かしま)・香取(かとり)・熱田(あつた)・橿原(かしはら)・平安(へいあん)・赤間(あかま)・宇佐(うさ)・鵜戸(うと)・宮崎(みやざき)などが。大社では出雲(いづも)・諏訪(すわ)・春日(かすが)・住吉(すみよし)・宗像(むなかた)・那智(なち)・三嶋(みしま)・多度(たど)などが存在している。

 山形県に、神来社(からいと)という名字がある。名字の由来は伝わっていないが、神来社さんの先祖は昔神主をしていたそうである。神が来る社と言えば神社であるのだが、「からいと」という言葉の意味は不明である。

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高信 幸男

たかのぶ ゆきお

名字研究家



1956年、茨城県大子町生まれ。高校の時から名字研究を始め、全国を旅しながら名字の由来やエピソード等を取材している。主な著書に『難読希姓辞典』『名字歳時記』『珍名さん』など。日本家系図学会員、茨城民族学会員、日本作家クラブ会員。


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