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日本人こそ市民がピストルを持つべき?

丸山眞男の提言。失われたコミュニティーの自己統治

■拳銃配給を提案した進歩的知識人

 

「どうだろう、ここで一つ思いきって、全国の各世帯にせめてピストルを一挺ずつ配給して、世帯主の責任において管理することにしたら……。」

  これは丸山眞男の「拳銃を……」(『丸山眞男集第八巻』所収)という小論の言葉である。丸山といえば、戦後の進歩的知識人を代表する政治学者であり、戦前の国家体制を批判し、平和運動の旗振り役ともなったほどの人物である。そんな丸山が、日本全国の各世帯に拳銃を配給することを提案し、「日本の良識を代表する人々につつしんでこの案の検討をお願いする」とまで述べているのだから、かなり意外な感がある。

 この文章は3頁ほどの短い小論で、他の文章で同じことを繰り返し何度も主張しているわけでもないので、それほど重大な主張ではなかったのかもしれない。だが、よく読むと全くの冗談というわけでもなく、日本の民主主義への一つの提案となっていることがわかる。

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大賀 祐樹

おおが ゆうき

1980年生まれ。博士(学術)。専門は思想史。

著書に『リチャード・ローティ 1931-2007 リベラル・アイロニストの思想』(藤原書店)、『希望の思想 プラグマティズム入門』 (筑摩選書) がある。


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