インフルエンザで「学級閉鎖」、ホントに意味ある?
明確なエビデンスはなかったが…
■コストとのバランス。一般化は難しい。
同様に、日本の感染症数理モデルの第一人者、西浦博先生らの研究によるシミュレーションでは、パンデミック・インフルエンザのときに一斉に学校を休みにすると、インフルエンザの患者数は減ることが予測されました(Nishiura H, Ejima K, Mizumoto K, Nakaoka S, Inaba H, Imoto S, et al. Cost-effective length and timing of school closure during an influenza pandemic depend on the severity. Theor Biol Med Model. 2014 Jan 21;11:5.)。ただ、かかるコストとのバランスを考えると必ずしも一斉学校閉鎖が正しい戦略とも断定できなかったようです。いずれにしても、これも普通のインフルエンザとは違うインフルエンザに関する話なので、一般化はできないですね。
というわけで、ぼくが検索した限り、一般的な季節性インフルエンザに対する学級閉鎖や学校閉鎖がインフルエンザ流行を抑えるのに効果的だ、と明確に示すデータは見つけられませんでした。はっきりとした効果が分かっていないのですから、学級閉鎖や学校閉鎖をルーチンで(どこでも)やる必要はないかもしれませんね。
それよりも、前述の「効果がほぼほぼ分かっている」インフルエンザ・ワクチンをしっかり生徒さんが接種することのほうが大事なように思います。でも、学校でインフルエンザ・ワクチンをちゃんと接種させているところは少ない割に、学級閉鎖や学校閉鎖はアドホックに(その場しのぎに)やってるんじゃないですかねー。