日本のコロナ禍は終わらない~テレビ・政治・日本人の責任回避スパイラル【松野大介】
■補償なしにも我慢
日本は補償に対して先進国とは思えない渋りようだ。
某酒造メーカーが新聞に広告を出した。
閉店する飲食店が増えているし、他の業種も補償や協力金が乏しいのは周知の事実。
しかし政治はお金を出さず、病床を増やす努力もせず、マスコミはそんな政治を批判せず、政治もマスコミもひたすら国民に自粛を要求する。これに対しても「仕方ない」と諦めモードの人が多い。
多大な被害を出している欧米国ではノー・ロックダウンの趣旨のデモが行なわれる。(今年3月イギリス)
日本とは雇用状態や自由への考え方の相違があるので、デモのいい悪いは問わないが、日本ではこういう主張は「みんなで我慢している空気」を壊しかねないこともあって、実現はありえない。みんなで主張より、みんなで我慢を選ぶと思う。
言いたいのは不満や改善を政府へ向けるべきなのに、私たちは我慢の過程で、①や②の外出する人を、③や④の人々が「外出しないで」と攻め、①と②が「働かないと死ぬ」「君たちは気にしすぎ」と対立してしまうこと。
本来は、「国民全体」対「補償せず病床増やさない政府」という対立構図になるべきが、私たちは「自粛する人」対「外出する人」になりがちだ。(本来は人類対ウイルスのはずですが)
わかりやすいのが1年前の「自粛警察」「マスク警察」で、もともとワイドショーがその役を始め、国民のごくごく一部が影響されてやったことだった。これらテレビが作り私たちが形状化させた国民内対立構図と、もともとの我慢体質のため、政府も厚労省も医師会も焦らないのではないか。
そして国民の「不安な心理」「我慢体質」「対立構図」をうまく利用してテレビ報道やコメンテーターたちはコロナをネタとし続け、政治や権力者も国民の支持を得るために利用する。私利私欲のためにコロナ禍を終わらせたくない人もいる。 近くそんなコロナ人災の話をさせていただきたく思います。
著者プロフィール
松野大介(まつの・だいすけ)
1985年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。