脱・ソ連型教育。ミレニアル世代が、ロシアの新時代を築く
ほんとうのロシアとモスクワ⑤
■ミレニアル世代と、「アジャイル・プロジェクトマネジメント」
タティアナさんの子供たちは、まだ小中学生で社会には出ていない。一方、ソ連時代の教育を受けていない層で、既に社会に出ている年代もいる。“ミレニアル世代”と呼ばれる、定義的には1980年代から2000年代初頭までに生まれた世代。その一部は既に社会の第一線で活躍している。現在20代後半で、本連載〈権力に背けば、即暗殺も…逮捕されたロシア活動家のその後〉に登場したアリーナ・バドレディノヴァさん(実名)も、その一人だ。
現在はモスクワで観光ガイドとして働くアリーナさんは、前職では衣料作成関係の会社で働いていた。そこで比較的新しいプロジェクト管理手法、「アジャイル・プロジェクトマネジメント」という手法が導入されたという。
アジャイル・プロジェクトマネジメントとは、元々はソフトウェア開発の領域で生まれ、その後多くの分野・産業で、新たなプロジェクト管理手法として広まった。大まかに言うと、プロジェクト開始前に、開始から完了までの全ての作業を順序立てて綿密に計画するのではなく、プロジェクトが始まってからも、状況に応じて作業の詳細や順序が変わっていく、柔軟な管理手法だ。
「この会社で私たちがやっていたプロジェクトに合った管理手法だということで紹介され、実際にこの方法で複数の衣料品の生産を管理していこうということになりました。ですが、古い世代の人たちは、このやり方に従おうとせず、本当に苦労しました。