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脱・ソ連型教育。ミレニアル世代が、ロシアの新時代を築く

ほんとうのロシアとモスクワ⑤

■「今のモスクワは、コスモポリタン都市」

 古い世代の人たち、と言っても、せいぜい40歳前後の人たちなんですけどね。ソ連時代の教育を受けた世代だからかも知れませんね」

 興味深いことに、アリーナさんは、“ロシア人は笑わない”というテーマでは、ミレニアル世代でありながらも、ロシア人の古いステレオタイプ的な価値観を肯定するコメントを述べていた。教育によって作られる価値観についてはソ連崩壊前後で隔たりがあるが、学校教育とは無関係な、根底的なスラブ的価値観は世代を超えて一貫性がある、ということだろうか。

 このテーマについて、ソ連時代の教育を受けた世代の、ピオトロ・キュティエフさん(実名・40代男性)に聞いてみた。

「ソ連時代と今のロシアは、正に違う国だと言っていいと思います。ソ連時代でも、学校では英語とドイツ語を外国語として教えていましたが、実際に使う場面はあまりありませんでした。当時のモスクワには、外国観光客もあまりおらず、いわゆる“西側諸国”からは、非常に危険な国だと言われていました。

 

モスクワの夜景

 今のモスクワは、コスモポリタン都市と言うに相応しい。安全で綺麗な街並みを観に、一度訪れてみることをお勧めします。あまり知られていない事実だと思うのですが、今はロシア人がビザを取って“西側諸国”へ行くよりも、“西側諸国”の人がビザを取ってロシアへ行く方が簡単なのです」

 筆者と個人的な友人でもあるピオトロさんは、満面の笑顔で、いかに自分の街・モスクワが素晴らしいかを熱心に語ってくれた。ロシア人は笑わない、のではなく、ロシア人は笑いたい時しか笑わない。久しぶりに会ったロシアの友は、いつもの笑顔で筆者を迎えてくれた。

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竹鼻 智

たけはな さとし

1975年東京都生まれ。明治大学経営学部卒、Nyenrode Business Universiteit(オランダ)経営学修士。2006年より英国ロンドンに在住。ITコンサルタントとジャーナリストのフリーランス二足の草鞋を履きながら活動し、「ラグビーマガジン」(ベースボールマガジン社)、「Number」(文藝春秋)、「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)へのコラム執筆など、現地からの情報を日本へ向けて発信。BEST T!MESでは、イングランド代表HC、エディー・ジョーンズ氏の連載「プレッシャーの力」の構成を担当。


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