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戦場におけるPaK40(対戦車砲)の戦い方

ドイツ軍でもっとも活躍した対戦車砲④

■小さな森の守備につき…

写真を拡大 射撃姿勢をとった7.5cmPaK40。手前には弾薬箱が置かれている。山岳部とはいえ射撃陣地の隠蔽はほとんどなされていないが、これでは敵戦車との交戦時にひとたまりもない。ゆえにおそらくプロパガンダ写真と思われる。

 ・・・私たちは3門のPaK40をもって、歩兵2個中隊とともに村へと向かう小道が抜ける小さな森の守備についた。歩兵を率いる中尉と調整し、道が森に入り込む敵に向いた面の樹木線に沿って、一定の間隔で3門を配置。そして、それぞれの隠蔽砲座と繋がる形で歩兵が塹壕を掘り、砲座と砲座の間に機銃座5か所が設けられた。小道をたどって村へと進む敵を阻止するには最適の布陣だ。兵力不足なことを除けば。

 私たち対戦車砲兵の仕事は、毎回、一か八かの命がけの賭博のようなものだ。戦車や自走砲のような機動力がないので積極的な「狩り」ではなく、敵戦車を伏撃する。そのため、堅固な隠蔽砲座を構築して厳重な偽装を施し、絶対に先に敵に見つかないようにしなければならない。砲に造り付けのペラペラな防盾と、砲の脇に掘った塹壕しか身を隠せるものがないので、敵戦車の榴弾や機銃掃射を先制で食らったらひとたまりもないからだ。

 可能な限り早く敵戦車を見つけ、有効射程に入り次第急いで撃破する。敵もこちらの発砲炎を確認したら撃ってくるので、できるだけ敵に見つからないよう厳重な偽装は何よりも大切だ。そして、可能な限り素早く敵戦車を始末する。反撃されて自分がヴァルハラ送りにならないために。だが多勢に無勢となれば、いずれこちらが吹き飛ばされてしまう可能性も高くなる。だからこそ、砲同士が連携して援護し合うのがきわめて重要だ。とにかく先に敵戦車を屠るために。

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白石 光

しらいし ひかる

戦史研究家。1969年、東京都生まれ。戦車、航空機、艦船などの兵器をはじめ、戦術、作戦に関する造詣も深い。主な著書に『図解マスター・戦車』(学研パブリック)、『真珠湾奇襲1941.12.8』(大日本絵画)など。


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