藤田田「40歳までに成功したければ、儲かったあとの目的をつくれ」
なんのために稼ぐか。日本人に足りない視点
■目標を決めてから儲けろ
「何か儲け話はありませんか」
と目を血走らせている人をよく見かけるが、こんな人に限って、逃げる女に追いすがってピシャリと振られるモテない男のように、お金から嫌われるようだ。
遊び好きな男、あるいは遊びの上手な男のことをプレイボーイというが、プレイボーイほど石部金吉さんよりよくモテる。レジャーをうまく楽しむアメリカ人が、勤勉な日本人よりお金によくモテるのも事実である。
カリフォルニアのニューポート・ビーチはすぐ目の前にリド島が眺められる風光明媚な土地だが、それよりも壮観なのは湾内につながれた何千という数にのぼる豪華なヨットである。
海岸には、ヨットの持ち主の家にふさわしい堂々たる邸宅が立ち並び、ヨットを見て家を眺めていると、日本人の金持ちなんかみんな貧乏人に見えてくる。
このニューポート・ビーチのレストランでアメリカ人と食事をしながら、私は思わずたずねたものだ。
「あんな家に住み、あんなヨットに乗っている連中は、一体、どんな仕事をしてる連中かね」
彼はいたずらっぽく笑って教えてくれた。
「デン、仕事をしてるヤツはここにはいないんだぜ」
つまり、儲けるだけ儲けた連中が、あとは人生を楽しむだけだ、と考えてここに集まってくるというのだ。日本人は貧しいから死ぬまで働くが、彼らは儲けたあとでは必ず楽しむ。その楽しみがあるからこそ、稼ぐときには徹底的に稼ぐのだ。
日本人には金儲けを目的だと心得ている人が多いが、これは間違っている。金儲けは、儲けたあとそれを使って何かをやるための手段にすぎない。
「金の儲け方を教えてくれ」
と訪ねてくる人は多いが、私は必ず、
「教えてあげてもいいが、儲かったあと、それを何に使うのですか」
と聞く。そうすると、ほとんどの人が、けげんそうな顔をして、
「儲けたことがないからわかりません」
と答える。これではダメだ。
儲かったらアカプルコへ遊びに行きたいとか、家を買いたいとか、スポーツカーを乗りまわしたい、美人を囲ってみたい、などと、初めに詳細な目的を持っておくのが金儲けのルールである。
金の使い方も知らない人に金儲けの方法を教えても仕方がない。おそらく酒と女に浪費するのが関の山だろう。これでは教え甲斐がない。人生には酒と女以外にやらなければならないことはたくさんある。やはり、それをやりたいという人に教えたい。
しかも、目的がわかっておれば、どれだけ儲けされればいいか見当がつくから、そのようにコーチができる。儲けたあとの計画のない人には何を教えたらいいかわからない。
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