今や当たり前になった『ドライブ・スルー』。始まりがマクドナルド江の島店だった理由
藤田田氏の目の付け所。時間を節約して儲けろ。
■時間を節約して儲けろ。
蛇足だが、江の島店には、馬に乗った客も現れた。
それはともかく、私の考えた『ドライブ・スルー』方式は、マクドナルドは立ち食いの店、という従来のイメージを打ち破りつつある。
現代人は好むと好まざるとにかかわらず、時間に追われている。そんな現代人にとって無視できないのが、時間の節約である。
どうすれば、時間を節約し、時間をより有効に使えるか、ということは、現代人の最大の関心事のひとつである。
昨今、使い捨ての100円ライターの普及はめざましい。使い捨ての100円ライターがなぜ現代人に受けたかというと、石をかえたり、液化ガスを補充したりする時間が節約できるからにほかならない。多忙な現代人にとって、ライターの石やガスに手をわずらわされるのは面倒くさいだけでしかない。
カメラにしても、現在はレンズの焦点を合わせたり、露出をきめたりする必要のないインスタントカメラが全盛である。シャッターを押すだけで、フィルムの巻きあげも自動的にカメラがやってくれるのだから、大幅に時間が節約できる。
時間を節約するものが現代人に受けるという一例である。
ファースト・フードはもともと時間を節約する産業である。時間を節約するためのファースト・フードがコーヒー・ショップに勝つのは自明の理である。
GNPが大きくなると、国が豊かになるのではなく、時間不足時代になる。文明が進めば進むほど、生活は複雑化し、現代人は時間が不足してしまう。
これからの事業は、時間を節約することを考えたものが、かならず成功する。
(『金持ちだけが持つ超発想』より)
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