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今や当たり前になった『ドライブ・スルー』。始まりがマクドナルド江の島店だった理由

藤田田氏の目の付け所。時間を節約して儲けろ。

■時間を節約して儲けろ。

 蛇足だが、江の島店には、馬に乗った客も現れた。

 それはともかく、私の考えた『ドライブ・スルー』方式は、マクドナルドは立ち食いの店、という従来のイメージを打ち破りつつある。

 現代人は好むと好まざるとにかかわらず、時間に追われている。そんな現代人にとって無視できないのが、時間の節約である。

 どうすれば、時間を節約し、時間をより有効に使えるか、ということは、現代人の最大の関心事のひとつである。

 昨今、使い捨ての100円ライターの普及はめざましい。使い捨ての100円ライターがなぜ現代人に受けたかというと、石をかえたり、液化ガスを補充したりする時間が節約できるからにほかならない。多忙な現代人にとって、ライターの石やガスに手をわずらわされるのは面倒くさいだけでしかない。

 カメラにしても、現在はレンズの焦点を合わせたり、露出をきめたりする必要のないインスタントカメラが全盛である。シャッターを押すだけで、フィルムの巻きあげも自動的にカメラがやってくれるのだから、大幅に時間が節約できる。
 時間を節約するものが現代人に受けるという一例である。

 

 ファースト・フードはもともと時間を節約する産業である。時間を節約するためのファースト・フードがコーヒー・ショップに勝つのは自明の理である。

 GNPが大きくなると、国が豊かになるのではなく、時間不足時代になる。文明が進めば進むほど、生活は複雑化し、現代人は時間が不足してしまう。

 これからの事業は、時間を節約することを考えたものが、かならず成功する。

『金持ちだけが持つ超発想』より)

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藤田 田

ふじた でん

「日本マクドナルド」創業

1926年大阪生まれ。旧制北野中学、松江高校を経て、1951年東大法学部を卒業。在学中GHQの通訳を務めたことがきっかけで「藤田商店」を設立、学生起業家として輸入業を手がける。1971年、米国マクドナルド社と50:50の出資比率で「日本マクドナルド(株)」を設立。同年7月、銀座三越1階に第1号店をオープン。そこからハンバーガー旋風を巻き起こし日本人の食生活を変えていく。「価格破壊」など革新的な手法を次々と展開した。のちに「日本トイザらス」も設立。2004年没。孫正義氏、柳井正氏ら、日本を代表する企業を率いる経営者たちに影響を与えたとされる。『ユダヤの商法』『勝てば官軍』『Den Fujitaの商法』など数々のベストセラーを残した。長く品切れが続いていたが2019年4月に完全復刊する。


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