「マクドナルド」はなぜ「マクダーナルズ」ではダメだったのか
3音か5音か7音で音が切れない“マクダーナルズ”では受けない
■子供が「マクドナルドください」と言っている
「何が面白いのですか」
とたずねると、
「とにかく行ってみればわかりますよ」
とニヤニヤするばかりだ。仕方なく、その店に連れて行ってもらった。
ところが行ってみると、子供たちがやってきて、
「マクドナルドください」
とハンバーガーを注文する。来る子供、来る子供、みんな、
「マクドナルドください」
という。
「ね、面白いでしょう、藤田さん」
案内してくれた人はそういって笑ったが、このとき私は、『マクドナルド・ハンバーガー』と常に続けて、漢字的に表現してよかった、としみじみ思ったものだ。
漢字的表現を徹底したために、今や『マクドナルド』は『ハンバーガー』の代名詞になってしまったのだ。
10年経った今も、振り返ってみて、うまくいったと思う。
日本語は、俳句にしろ短歌にしろ、すべて、5、7音が基礎になっている。日本語で語呂がいいという場合は、3、5、7音で成立している。『マクドナルド』も今では、単に『マクド』といわれることが多くなった。
「マクドの誰が来た」とか「マクドの広告を見た」というように使われている。
この前も国文学の大家の暉峻康隆先生とお話する機会があったが、暉峻先生も「マクド/ナルド」と三音ずつに区切って発音しておられた。私があえて『マクダーナルズ』をけって『マクドナルド』を主張したのが正しかったことは、暉峻先生が「マクド/ナルド」と発音されたことで証明されたようなものだ。
このライバル店で子供たちが「マクドナルドください」というのを聞いたとき、私は、マクドナルドは勝っている、と思ったものだ。
(『金持ちだけが持つ超発想』より)