レバノンは「戦う価値のある国」だ。より良き未来へ向けて、声を上げる活動家たち
中東のモザイク国家、レバノンの今④
■暖かい笑顔を見せてくれた若者
そして、こうした指導者に導かれ、街での抗議活動に参加する若者は、どのような意図で活動に参加しているのだろうか。ベイルート中心地で行われる、政府軍戦車まで登場するような抗議活動には、貧富や教養の差を超え、多くの若者が参加する。ベイルートの某大学で学ぶ、マズルーさんもその一人だ。
自分の未来に不安や不満を持ち、それぞれの思いを叫ぶ為に抗議活動に参加する、今日のレバノンの若者。昨年末に大きく取り上げられた社会問題の一つに、医療サービスの破綻がある。瀕死の重病を追った3歳児が、両親が私費保険未加入で、十分な現金もクレジットカードも持っていなかった為、病院の待合室で死亡したというニュースは、多くの国民に怒りを与えた。この他にも、仕事を探す若者は、実際の数値は誰にも分からないというレバノンの失業率や、汚職にまみれた国内のビジネスを嘆く。
しかしながら、こうして一通り若者が見るレバノンの問題を語ってくれたマズルーさんは、インタビューを終えた後、日本から来た客人に対し、暖かい笑顔を見せた。
「ネガティブな話ばかりしてしまい、すいません。せっかくレバノンに来たのだから、美味しいレバノン料理を沢山食べていって下さい。肉類や魚介類だけでなく、菜食主義者向けの野菜料理の種類も豊富です。いい記事が書けるよう、頑張って下さい」
丁寧に挨拶をし、握手をして去っていく今日のレバノンの若者に、明るい未来の兆しが見えたような気がした。
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