3月8日は国際女性デー 女の子を取り巻く変化、まだ不十分 ユニセフら、一層の努力を呼び掛ける 【プレスリリース】

中学2年生のときに女子中等教育が禁止され、その後3年半にわたり、学校に通えずに家で過ごしているラムジアさん。「友達や先生に会いたくてたまらない。将来への希望も持てないでいます」(アフガニスタン、2025年2月10日撮影) (C) UNICEF/UNI736113/Azizi
【2025年3月7日 ニューヨーク発】
ユニセフ(国連児童基金)などが本日発表した新たな報告書によると、世界中の女の子を取り巻く環境は、過去30年間に教育などの分野で大きな進歩を遂げたにもかかわらず、現在も何百万人もの10代の女の子が学校に通っておらず、将来に備える準備ができていないばかりか、命を守る保健サービスを受けられない状況にあり、児童婚や女性器切除、暴力、虐待などの有害な因習のリスクにさらされています。
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国際女性デーを前に発表された報告書「Girl Goals: What has changed for girls? Adolescent girls’ rights over 30 years(女の子の目標:女の子にとって何が変わったのか? 10代の女の子の権利の30年の歩み)」は、1995年に189カ国の政府が承認した「北京行動綱領」以降の30年間に、10代の女の子たちの生活がどのように変化したかを検証しています。
報告書の主な内容は以下の通りです。
教育、訓練、デジタルスキル:
- 過去20年間で非就学の女の子の数は39%減少しましたが、今日でも世界で1億2,200万人の女の子が学校に通っていません。南アジアの15歳から19歳までの女の子は、男の子と比べて、学校や職場、職業訓練のいずれにも通っていない可能性が3倍に上ります。
- 世界では、10人に4人近くの、15~24歳の女の子と女性が後期中等教育を修了していません。農村部の貧困家庭や社会的に疎外されたコミュニティに属する女の子は、学校教育を修了する可能性がさらに低くなります。
- 過去30年で読み書きのできない15~24歳の女の子と女性の数はほぼ半減したものの、今日でも約5,000万人の同年代の女の子と女性が、簡単な文章を読み書きすることができません。
- 低所得国の15~24歳の女の子と女性のうち、10人中9人がインターネットを利用することができない一方で、同年代の男の子と男性がインターネットを利用している可能性は2倍です。
ジェンダーに基づく暴力:
- 世界で、婚姻またはパートナー関係にある10代の女の子の4人に1人近くが、その相手から暴力を振るわれた経験があり、現在生存している5,000万人の女の子が性暴力を経験しています。
- 世界中の15~19歳の女の子と男の子の3分の1以上が、特定の状況下では夫が妻を殴ることを正当化できると考えています。
有害な慣習/因習:
- 女性器切除の因習の実施は減少傾向にあり、ブルキナファソやリベリアなどの国々では、この行為を受ける女の子の割合が過去30年で半減しました。しかし、2030年までに女性器切除を根絶するという目標を達成するには、世界的な減少率を27倍に加速させる必要があります。
- 18歳未満で結婚する女の子の割合は25年前と比較すると減少しています。それでも、世界で5人に1人の女の子が、子どもの時に結婚しています。最も改善が見られたのは南アジアで、他方ラテンアメリカとカリブ海地域では、過去25年間に進展は見られませんでした。
健康とウェルビーイング:
- 世界的に見ると、10代の女の子が出産する件数は、過去30年間でほぼ半減しました。それでも2025年には、約1,200万人の15~19歳の女の子が出産すると見込まれています。妊娠に伴うリスクがさらに深刻な低年齢(10~14歳)では、32万5,000人を超える女の子が出産すると推定されています。
- 15~19歳の女の子の死亡原因のうち、妊娠中や出産時の合併症による死亡は、約23人に1人の割合です。
- 世界的に見ると、10~19歳の低体重の女の子の割合は、過去30年間で10%から8%へとわずかに減少しています。
本報告書は、10代の女の子の持つ大きな潜在能力を引き出すために、世界的な行動が緊急に必要であることを明らかにし、以下の提言を行っています。
- 10代の女の子の声をより広く伝え、彼女たちの生活に影響を及ぼす問題に関する政策策定に反映させるためのアドボカシー活動を支援する。
- 進捗が滞っている分野に注目し、10代の女の子自身にとって最優先事項である分野の課題(例えば女子教育の禁止、スキルや訓練における格差など)の解消に重点的に取り組む。同時に、新たな世界的な潮流や認識にも目を向ける。
- 10代の女の子にとって最も大きな格差があり、緊急に対処すべき分野に投資するために、データに基づくエビデンスを活用し、大規模な変革および的を絞った共同行動に取り組む。特に、経済的なエンパワーメントと、女の子が自立するために必要なスキル、資源、リソースを確保できることに重点を置く。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、次のように述べています。「10代の女の子は、世界を変える大きな原動力です。適切なタイミングで適切な支援があれば、彼女たちはSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し、私たちの世界を作り変えることができるのです。教育、スキル、保護、そして不可欠な保健・栄養サービスといった重要な分野へ投資すれば、世界中の10代の女の子の潜在能力を引き出し、地域社会や国をより良くすることができます」

コミュニティの人々に、女性器切除(FGM)や児童婚のような有害な因習について伝える20歳のハリマさん (スーダン、2023年11月14日撮影) (C) UNICEF/UNI511469/Awad
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(https://www.unicef.or.jp )
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