松本人志と「吉本興業」、櫻井よしこと「愛国ビジネス」、岸田文雄と「政策集団」 嘘・ごまかし・火事場泥棒。追い詰められる人たちの卑怯な言い訳【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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松本人志と「吉本興業」、櫻井よしこと「愛国ビジネス」、岸田文雄と「政策集団」 嘘・ごまかし・火事場泥棒。追い詰められる人たちの卑怯な言い訳【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第56回


「嘘」「ごまかし」「論点すり替え」「火事場泥棒」……。小狡く生きることがこの世を生きる術とでも開き直る卑怯な日本人は多い。こんな大人を子どもたちに見せることができるのか。櫻井よしこをはじめとする「愛国ビジネス」に精を出してきた連中は、わが国が凋落しようがおかまいなしで、「保守風」稼業。今週も目も当てられない醜悪な面々がこれでもかと登場。やはりこの国は壊れている。作家・適菜収氏の「だから何度も言ったのに」第56回。著書『日本人は豚になる 三島由紀夫の予言』(KKベストセラーズ)が重版出来で売れ行き好調。


櫻井よしこ

 

■追い詰められる人たち

 

「日本は今こそ自立を」というおなじみのフレーズで、講演で荒稼ぎし「保守ビジネス」の成功例を示してきた櫻井よしこさんのXの投稿が炎上したという。

 自室と思われる部屋で微笑む自身の写真をアップし、《「あなたは祖国のために戦えますか」。多くの若者がNOと答えるのが日本です。安全保障を教えてこなかったからです。元空将の織田邦男教授は麗澤大学で安全保障を教えています。100分の授業を14回、学生たちは見事に変わりました》と投稿。これに類するネタだけで長年ビジネスをやってきたカルトだけど、なぜ今回だけは炎上したんですかね?

    *

 髪の毛は昔ほど盛っていないが、話を盛るのは相変わらず。あの手の界隈には昔から「ババア枠」というのがあると聞いたことがある。老女から叱られるとホクホクしてしまうような男性がいるので、ステレオタイプの「保守風」言説を繰り返す商売が成り立つらしい。講演に行って「今日は櫻井先生に叱られちゃったよ」みたいことを言い出すキモオヤジとか。本当に気持ち悪い。

    *

杉田水脈

 

 政界にも変なのは多い。安倍派の杉田水脈は政治資金収支報告書に不記載があったことを自身のブログで明らかにした。不記載の額などは示していない。その上で、「政治活動に支出しており、不正や私的流用は全くありません」だって。いや、不記載自体が不正だし、犯罪だろ。社会のダニ。

    *

松本人志

 

 日本が完全に壊れてからだいぶ経つが、松本人志の性加害問題に関し、吉本興業は「週刊誌報道等に対する当社の対応方針」なるものを発表。

《当社は、これまでもコンプライアンスの徹底・ガバナンスの強化に取り組んでまいりましたが、とりわけ昨年7月以降は、事業整理・組織改編と共に、社外有識者を交えたガバナンス委員会を設置し、複数の外部弁護士をコンプライアンスアドバイザーとして招聘するなど体制を整備して、様々な事案について指導・助言を仰ぎながら、コンプライアンスの周知徹底及びガバナンスの強化に努めてまいりました》

《現在、当社におきましては、コンプライアンスアドバイザーの助言などを受けながら、外部弁護士を交えて当事者を含む関係者に聞き取り調査を行い、事実確認を進めているところです》

 え? 昨年1227日に出した「当該事実は一切なく」という声明はなんだったのか。事実確認もせずに、否定したのか。「とりわけ昨年7月以降」「コンプライアンスの周知徹底及びガバナンスの強化」の結果があの声明? 吉本興業、怖すぎる。

    *

《当初の「当該事実は一切なく」との会社コメントが世間の誤解を招き、何を指しているのか不明確で混乱を招いたように思う。時間がない中での対応とはいえ、今後慎重に対応すべきである》などとも書いていたが、別に世間は誤解していないし、何を指しているのか不明確でもない。週刊文春の記事に対し、「当該事実は一切なく」と吉本興業が主張したと正常な日本語能力がある人は受け取ったのである。

    *

 今回の件ではものまね芸人のJPも被害者の1人。仕事減りそうだし。この際だから「追い詰められる松本人志」というネタをやればいい。

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  • 目次

はじめに−−「B層」とは何か?

✳︎

第一章 内田樹と『日本辺境論』

辺境と偏狭

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

B層グルメと某評論家

B層という言葉が出てきた経緯

なぜ日本はこんなことになってしまったのか

ルース・ベネディクトの『菊と刀』

安倍晋三の行動原理

学問のブレイクスルー

マイケル・ポランニーと暗黙知

百人一首を暗記する意味

「型」を知るということの贅沢

 ✳︎

第二章 自立を拒絶する人たち

白井聡の『永続敗戦論』

終戦記念日という欺瞞

冗談は櫻井よしこさん

「サヨク」と「保守」の自己欺瞞

「主権の欲求不満」の解消

 ✳︎

第三章 「正義」を笠に着る人たち

ウクライナ首都の名称変更は「正義」なのか?

「人間は見たいものしか見ない」

社会的リンチというB層の「正義」

人種問題における「正義」の暴走

「ルッキズム」批判は「正義」なのか?

言葉狩りは「正義」なのか?

若年層に選挙権を与えるのは「正義」なのか?

山本太郎と「正義感」について

 ✳︎

第四章 陰謀論に走る人たち 

「無知の知」と「無恥の恥」

不道徳としか言えない果物屋

「維新に殺される」

新型コロナは「バカ発見器」でもあった

ひっくり返って駄々をこねる老人たち

Yahoo!ニュースのコメント欄

知識はあるけど教養がないバカ

デマは言論の自由にあらず

社会の変化は元には戻らない

99%の人が知らない話

✳︎ 

第五章 無責任な人たち

安倍の次は維新に騙されるB層

メディアの劣化が止まらない

大阪都構想のデマと事実隠蔽

総選挙で湧いてきたB層

✳︎ 

第六章 恥知らずな人たち

飼い犬の遠吠え

安倍晋三の本質を映し出す一枚

ツッコミ待ち政治家だらけの国

日本の崩壊に気づいていないB層

日本最大の権力者は「改革バカ」

「ジューシー」発言は外部の拒絶

悪意なく嘘を重ねる人々

カルト化した自民党広報本部

百田尚樹の「歴史改ざんファンタジー」

日本人は悪に屈したネトウヨ用語を使い騒ぎ出した元首相

✳︎ 

おわりに−−人間は過去を忘れ野蛮は繰り返される

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オススメ記事

適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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