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たっぷり寝ているのに疲れが取れない人の原因はメタボ? 睡眠の質を高めるには

『医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣』発売記念コラム2

特に健康に気をつかっているわけではないのに、元気で長生きしている人はどこか違うのか? それは日々の基本的な生活習慣にあった。多くの患者を見る町医者であり、ベストセラー本の著者である長尾和宏先生が、90代を元気で過ごす人から得た、超基本の生活習慣とは。

■寝ないと太る? 痩せる?

 

 睡眠不足が続くと、太ると思いますか? 痩せると思いますか?

 夜中に余計なものを食べない限り、睡眠が短いほうが活動時間は長くなって痩せそうな気がしますよね。ところが、実態は逆です。

 睡眠不足は肥満の原因になります。

 コロンビア大学の研究によると、平均7時間の睡眠を基準とした場合、6時間睡眠では23%、5時間睡眠では50%、4時間以下の睡眠では73%も肥満になる確率が高まるそうです。

 睡眠時間が短いとなぜ太りやすいのか、その理由も明らかになっています。カギを握るのが、食欲をコントロールしている2種類のホルモンです。

 人の食欲は「レプチン」と「グレリン」という真逆の働きをするホルモンでコントロールされています。レプチンは、食欲を抑え、エネルギー消費を増やす働き。一方、グレリンは、食欲を増進させて肥満をつくるホルモンです。

 この2種類のホルモンのバランスは睡眠時間で決まり、その分水嶺は6時間だそうです。つまり、睡眠時間が6時間を超えるとレプチン優位に傾き、逆に6時間よりも短くなるとグレリン優位に傾き、太りやすくなってしまう。

 スタンフォード大学の研究では、睡眠時間が5時間の人は、9時間の人に比べてレプチンの分泌量が15%減り、太らせホルモンのグレリンの分泌量が15
%増加していたそうです。シカゴ大学も、健康な成人の睡眠時間を4時間に制限したところ、グレリンの分泌量が増えてレプチンの分泌が減ることを報告しています。

 私たちの脳は、睡眠不足になると「消耗しないようにもっと食べろ!」と指令を出してしまうようです。

 睡眠が不足すると太る理由はもうひとつあります。それは、基礎代謝が下がるからです。

 基礎代謝とは安静にしていても使われるエネルギーのことで、この基礎代謝が高いほど太りにくいということはご存知だと思います。基礎代謝は睡眠中に分泌される成長ホルモンで上がるのですが、ぐっすり寝ないと成長ホルモンの分泌が減り、基礎代謝が下がり、その結果、太りやすくなるのです。

 

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長尾 和宏

ながお かずひろ

1958年、香川県生まれ。医師、医学博士。医療法人社団裕和会理事長、長尾クリニック院長。84年、東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。95年、兵庫県尼崎市で開業、2006年より在宅療養支援診療所となり、外来診療と24時間体制での在宅診療を続ける。日本尊厳死協会副理事長、日本慢性期医療協会理事、日本ホスピス在宅ケア研究会理事、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本禁煙学会専門医、日本在宅医学会専門医、日本内科学会認定医、関西国際大学客員教授、東京医科大学客員教授。近著に『病気の9割は歩くだけで治る! 』『認知症は歩くだけで良くなる』(ともに山と渓谷社)、『がんは人生を二度生きられる』『その医者のかかり方は損です』(ともに青春出版社)、『「平穏死」10の条件』(ブックマン社)など多数。


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  • 2016.10.20