歯を磨かないと糖尿病、がんになる? 歯と病気の深い関係
『医者通いせずに90歳まで元気で生きる人の7つの習慣』発売記念コラム1
特に健康に気をつかっているわけではないのに、元気で長生きしている人はどこか違うのか? それは日々の基本的な生活習慣にあった。多くの患者を見る町医者であり、ベストセラー本の著者である長尾和宏先生が、90代を元気で過ごす人から得た、超基本の生活習慣とは。
■歯周病が動脈硬化を引き起こす
歯は、全身の病気と深くかかわっています。たとえば、歯周病が動脈硬化を起こすという話はみなさんも聞いたことがあるでしょう。
歯周病は、歯周病菌が慢性の炎症を起こし、歯茎が腫れ、悪化すると歯を支えている骨を溶かしてしまうという病気です。しかも、歯周ポケットが深くなると、歯の根元についた歯周病菌が歯茎の毛細血管から大きな血管へ入り、心臓に送られ、全身の血管を駆け巡ることになります。
歯茎に炎症を起こし、歯を支えている骨を溶かす原因である菌が全身を駆け巡るのですから、いいわけがありません。歯周病があると、動脈硬化以外にも全身のさまざまな病気が起こりやすいことがわかっています。
たとえば心筋梗塞になる確率は、歯周病がある人はない人の3割増しに。脳梗塞にいたっては、歯周病があると2・8倍増えるという話もあるほどです。
■歯周病になると、糖尿病にもかかりやすくなる
また糖尿病も、歯周病と深いかかわりがあります。歯周病と糖尿病は表裏一体の関係で、歯周病があると糖尿病になりやすく、糖尿病があると歯周病になりやすいのです。しかも、糖尿病の人が歯周病の治療をすると、糖尿病までよくなることもわかってきました。
なぜ歯周病があると糖尿病になりやすいのかと言えば、歯周病菌が出す毒素がインスリンの働きを邪魔することが原因のひとつです。一方、糖尿病によって歯周病が増えるのは、糖尿病が進行すると喉が渇くようになるのですが、その際、口も渇くようになります。口が渇くということは唾液が少なくなっているわけで、細菌が繁殖しやすくなるのです。また、糖尿病によって免疫力が下がることも歯周病になりやすくすると言われています。
このように歯周病は全身の病気の原因にもなっていて、歯周病を治療することは歯を守るだけではなく、全身を守ることにもつながるのです。
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