神社の鳥居は100種類以上もあった――そのカタチの意味とは?
神社のポイントを知ればご利益が上がる
実は謎が多い神社の造り、起源や由来には諸説あり
全国に8万社以上もある神社。○○大社、○○神宮、○○八幡、○○稲荷と呼び名もいろいろなら、その謂れ、鳥居や社殿の形、境内に置かれた神使も多種多様だ。一体何が違って、どこに着目するとおもしろいのか。國學院大學神道文化学部准教授の藤本頼生さんに、その見どころを伺った(雑誌『一個人』2017年1月号取材時)。
「神社には、それぞれ個性があります。どんな神様が祀られているか、どの時代に建てられたかによって違いますし、地域ごとの特性も見逃せません。しかも、起源や由来には諸説あることが多く、いろいろと謎も多い。だから、知れば知るほどおもしろいんですね」。
例えば神社の象徴的存在である鳥居は、詳しく分類すると100種類以上もあるのをご存じだろうか。その形状から、笠木(上にある横木)がまっすぐの神明系鳥居と、笠木の下に島木が付いて反りもある明神系鳥居(イラストの鳥居)の二つに分類される。
神明系鳥居のある神社は、天照大神をお祀りしている伊勢神宮の系統で、靖国鳥居、鹿島鳥居などがこの仲間だ。一方、全国の鳥居の9割以上を占めるのが明神系鳥居。明治神宮のような正統派から、鳥居が3つ横に並んだ三輪鳥居や笠木の上に三角形の屋根が付いた山王鳥居などのユニークな鳥居までさまざまだ。また、一つのお社の中に神明系鳥居もあれば明神系鳥居もあるというケースもある。
「もともと八百万神という考え方をする神道は、1+1が2ではない場合も多く、絶対こうでなければならないというのがあまり多くないんです」。
社殿の建築様式にも多様性がある。大別すると、穀物を収める倉庫から発展した「平入」と古代の住居から発展した「妻入」に分けられ、屋根の形や装飾、地域性などで、流造などの様式が決まる。仏教伝来の前後で、寺院建築の影響も如実に表れて興味深い。
まずは毎年お参りしている近所の神社などで、じっくりと観察してみよう。
[鳥居]神域との境界を表す神社のシンボル
神域と俗界の境目に建てられた門。鳥居が複数ある場合は、くぐるごとに神域に近づく。『古事記』にある長鳴鳥の説話に基づく国内起源説とインドや中国など海外起源説があり、いまだ定説はない。語源には、鳥居をくぐることで「(願いが)通り入る」という説もある。
[注連縄]「天の岩屋戸」由来の神社の結界
神社という神域と人間が暮らす俗界を区別する結界の役割を担う。『古事記』では、天の岩屋戸からようやく引っ張り出された天照大神が、二度と中に戻れないよう注連縄を張ったのが起源とされる。藁を捻り合わせて作り、特殊な切り方をした紙垂を垂らす。
[社殿]参拝をする拝殿と神が住まう本殿
御神体を祀ってある本殿は、正殿とも呼ばれ、境内で一番神聖な場所。通常は御扉に鍵がかけられ、開けるのは例祭など特定の祭儀のときに限られる。本殿に向かって、一般の参拝者や神職、氏子総代らが拝礼や祭祀を行う場所が拝殿で、本殿の前に造られている。