パートにも賞与で差をつける。カリスマ社長「チャンスは平等に与え、成績によって処遇の差をつける」
希代の経営者・小山昇が語る「パート社員・戦力化」の要諦 第3回
現在、「働き方改革」が政府・産業界ともに本格的に進められている。だが、小山昇が経営する株式会社武蔵野では、すでに何年も前から非正規雇用従業員の待遇改善に取り組み、15年連続増収、過去最高売上・最高益を更新している。最新刊『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』(ベスト新書)を上梓した同氏が考える、「正しいパート社員の働き方」とは。
どうして給料が下がったのに「嬉しい」と言えるのか
毎年安定的にパートの給与を上げていくと、「長年いるパートは仕事ができなくても給料が高く、新しいパートは能力が高くても給料が低くなる」ことがあります。
給料格差がわずかであれば不満は出ませんが、差があり過ぎると、不公平になります。「長くやっている」ことと、「能力がある」ことは別です。
本当の公平とは、「チャンスは平等に与え、成績によって処遇の差をつける」ことです。
武蔵野は60歳以上のパートが多くいます。そこで、年齢や勤続年数による給料格差を是正するために、「エナジャイザー(energizer)」という適性診断ツールを使って、「60歳以上で単純能力が50を下回る人」は給料を下げることにしました。ただし、1年後の再診断で「50」を超えたときは、1年分遡って給料を払い戻す敗者復活制度を設けました。
対象者13名のうち、「50」を超えたのは、ひとりだけでした。
そこで、13名全員を集めて「基準に達したのはひとりです。他の方は申し訳ありませんが、給料を規定の額に下げます」と説明しました。
給料を下げられたのに、パートからは文句が出ませんでした。それどころか、「全員の前で社長が言ってくれたことが、嬉しかった」という感想が寄せられたのです。
個別に説明されると、「自分の能力が低かった」という事実を受け入れなければならず、プライドが傷つきます。ですが、全員の前で説明されるのであれば、「給料が下がるのは、自分だけではない」ことがわかるし、プライドも傷つかない。だから、給料が下がっても「嬉しかった」と言えた。
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