残業改革は、しなければならない「理由」がある
希代の経営者・小山昇が語る「パート社員・戦力化」の要諦 第6回
現在、「働き方改革」が政府・産業界ともに本格的に進められている。だが、小山昇が経営する株式会社武蔵野では、すでに何年も前から非正規雇用従業員の待遇改善に取り組み、15年連続増収、過去最高売上・最高益を更新している。最新刊『儲かりたいならパート社員を武器にしなさい』(ベスト新書)を上梓した同氏が、「なぜ残業改革が重要なのか」を語る。
◆残業改革に取り組む理由を説明し、協力を仰ぐ
「残業がある会社」と、「残業がない会社」では、一般的に後者のほうが良い会社だと考えられています。
ですが、現場で働くパートの意見は、少し違います。「残業が多すぎるのは困るけれど、少なすぎるのも困る」が本音です。なぜなら、働く時間が減ると、時給ベースで働くパートは可処分所得が減るからです。
残業改革に取り組むためには、「残業時間が減っても、可処分所得を減らさないしくみ」をつくると同時に、「なぜ、残業を減らす必要があるのか」をきちんと説明する必要があります。
女性は、あいまいさを嫌い、残業改革を進める理由をきちんと説明しなければ、協力を得ることができません。
では、なぜ、残業改革に取り組まなければいけないのでしょうか。
理由は主に「3つ」あります。
一.「月45時間以上」の残業は法令違反
二.社員(パート)の「健康」を守る
三.雇用・採用への変化
二.社員(パート)の「健康」を守る
三.雇用・採用への変化
一.「月45時間以上」の残業は法令違反
労働基準法36条(36協定)によって、「労働者に法定時間を超えて働かせる場合(残業をさせる場合)、あらかじめ、労働組合または、労働者の代表と協定を結ばなくてはならない」と決められています。
36協定を結んでも、無制限で残業をさせていいわけではありません。36協定で定められている「時間外労働の限度時間」(一般の延長限度)は、「1ヵ月45時間以内」です(事業や業務の性質によっては、例外的に36協定の限度時間が適用されない業務がある)。
二.社員(パート)の「健康」を守る
「会社は、従業員の犠牲の上に成り立つものではない」と私は考えています。
残業をすればそれだけ収入は多くなるが、それが続いてパートの健康を害するようなことがあってはいけません。
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