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従業員同士の揉め事をおさめるには? カリスマ社長がかけた「強い言葉」

希代の経営者が語る、右肩下がりの時代を生き抜く働き方改革 第11回

現在、「働き方改革」が政府・産業界ともに本格的に進められている。だが、小山昇が経営する株式会社武蔵野では、すでに何年も前から非正規雇用従業員の待遇改善に取り組み、15年連続増収、過去最高売上・最高益を更新している。最新刊儲かりたいならパート社員を武器にしなさい(ベスト新書)を上梓した同氏が「女性ばかりの職場で揉め事を発生させないしくみ」について語る。

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◆女性ばかりの職場で揉め事を起こさせない武蔵野のしくみ

 わが社が、「メリーメイド事業部」(家事を代行するサービス)をはじめたとき、オフィスには個人ロッカーがありませんでした。

 なぜだと思いますか? ロッカーを買うお金がなかったからではありません。

 理由は2つあります。ひとつは、大きな荷物を持ってくる人がいなかったからです。ほとんどのパートが、自転車や徒歩で身軽に通勤していたので、カバンを置けるスペースがあれば十分でした。 
 

 もうひとつの理由は、パートに自慢をさせないためです。

 メリーメイド事業部では、お客様のお宅にうかがうときに、結婚指輪以外のアクセサリーをしてはいけない決まりです。

 ですが、ロッカーがあると、「外出するときだけ外せばいい。ロッカーの鍵をかけておけば安全だ」と考えて、高価なアクセサリーや時計を職場に持ってくるようになります。すると、パート同士が見栄を張り合うようになり、妬んだりするようになる。妬みや、嫉妬などの感情は、やがて陰口やいじめの原因になります。

 反対にロッカーがなければ、安全に保管することができないので、高価なアクセサリーをしようとは思わなくなります。
 ロッカーを置かないのは、「自慢ができないしくみ」です。

◆仕事の揉め事の多くは、プロセスの違いが原因

 パートのAさんとBさんの意見が対立したとき、どちらか一方の意見を採用してはいけません。「えこひいき」と受け取られるからです。
 仕事上の揉め事の大半は、「プロセス」に対する考え方の違いが原因です。
 富士山に登るのに、「私は静岡側から登りたい」「私は山梨側から登りたい」とルートで揉めるようなものです。最終的な目的は同じなのに、そこまでの手段に違いがあると、相手を許せなくなります。

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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