おでんのロスより機会ロスが怖かった。「コンビニとは、そこまでするのか」と驚かれた、イイ働き方の話
時代は変われど、皆さんの働くモチベーションを上げるきっかけは、「課題を解決する」ってところにあると思います!
いまや日本の日常生活に欠かせない「コンビニ」。もしそのコンビニがなくなったとしたら……。コンビニの最新施策を分析し、小売業の未来図を説く書『コンビニが日本から消えたなら』の著者で、日本一のコンビニ流通アナリスト渡辺広明氏が問いかける。(『コンビニが日本から消えたなら』より)
時代とともに、人が求める需要も移ろい変化していくものです。ビジネスの世界では、この変化する欲求に歩調を合わせ、柔軟に戦略を立てていかなくてはなりません。
いまの時代は、生産年齢人口の減少に伴う省人化や効率化、高齢化社会に対応するシニア層へのサービスや商品開発、24時間問題で顕著となった働き方改革へ対応すること、食品ロスを抑え環境対策に取り組むこと。こういった日本社会の問題を解決するコンビニでの施策が利益を生み出す戦略であると、『コンビニが日本から消えたなら』の第1章で述べてきました。
ここでは、少し時代を遡って、コンビニが世界最強の小売業として成長していった時代、1998年頃のお話をしましょう。
当時は、何よりも欲しいものをいますぐ手に入れたいという、緊急購買への欲求がコンビニに求められていたのです。
時代は変われど、その時の課題を解決することこそ、ビジネスチャンスとなることに変わりはありません。
いつの時代も、皆さんの働くモチベーションを上げるきっかけは、「課題を解決する」ってところにあると思います!
■欠品を防げ!「コンビニコスメ」の誕生
「いかなる理由があろうとも、欠品は絶対にしてはいけない」これは、1998年頃、当時のコンビニ業界における鉄則です。私が所属していたローソンも例外ではなく「本部には供給責任があるから、どんな欠品も許さない」とオーナーに約束していました。
いまだに99%以上の商品は欠品することがないほど、浸透している考え方です。
いま考えると、ちょっと無駄な労力だったと思うんですけどね。たとえば、5種類の100円ライターを扱っている店舗で、1種類だけ欠品していても全然問題ないじゃないですか。でも、それすら許されないのがコンビニなのです。
そんな状況下で、私は配置転換により化粧品担当になったのですが、ここで最も手強かった取引相手が業界トップの資生堂です。
あるとき、同社の若年層向け化粧品「ヌーヴ カラークレヨン」が欠品しそうになったエリアがありました。資生堂に掛け合っても「ないものはない」の一点張りで、融通が利かない。いや、いま考えれば融通が利かないのは私の方だったんですけどね。しかし、当時の私は欠品させないことに命を懸けていました。
たとえば、特番の録画需要が高まる年末年始に、TDKのビデオテープが欠品しそうになったことがあります。このとき、私は正月の1月1日に担当者の実家にまで電話を入れて、江戸川区にあるTDKの倉庫を開けさせたほどです。欠品なんて あり得ないから、いますぐ起きて倉庫を開けてくれと。この行為が正しいだなんて、いまはまったく思っていませんが、当時はそれが正しいと思い込んでいたんです。
そんな私ですから、当然ながら資生堂の欠品も許せなかった。しかし、どれだけ交渉しても商品を手配してもらえそうにない。
そこで私は「じゃあ僕が何とかします」と、土日の2日間かけてドラッグストアやファミリーマートを車で回り、合計36万円分の「ヌーヴ カラークレヨン」を買い集めたんです。
我ながら頭がおかしいですよね?
ともあれ、無事に月曜日に納品し、資生堂の担当者にも「何とかしましたから」と報告しました。「一体どうやったんだ?」と尋ねられたので、ありのままを説明したら、担当者に「コンビニとは、そこまでするものなのか」と非常に驚かれた記憶があります。
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【渡辺広明氏 出演情報】
1/17(金曜) 発売 『FRIDAY』コラム掲載
1/22(水曜) フジテレビ『Live News α』 23:40~
1/29(水曜) くまざわ書店東京テレポート店(りんかい線東京テレポート駅構内 フジテレビ最寄り駅)にて15:00~19:30 著書『コンビニが日本から消えたなら』渡辺広明さんによる直接手渡し販売会&サイン会を開催
1/31(金曜) 静岡県浜松市(著者出身地)谷島屋書店浜松本店内エクセルシオールカフェにて18:30~20:00 著書『コンビニが日本から消えたなら』刊行記念トークショーを開催
『コンビニが日本から消えたなら』
渡辺広明 (著)
少子高齢化デフレ、AIデフレという新地獄に負けない経済戦略が実はコンビニで行なわれている! 日本一のコンビニ流通アナリスト渡辺広明氏が誰にとっても身近であるコンビニの最新施策を分析し、小売業の未来図を説く。今話題のコンビニ問題と社会問題に関する解決策を提案。ここまで真相に迫りって述べた作品は今までない!すべての業界で働くビジネスマンにも通じる「いい仕事」をするために何を考え何をすべきかを説くビジネスの教科書となる1冊です。
全国一律、「24時間開いててよかった」をキャッチフレーズとし年中無休の利便性を打ち出していたコンビニが、キャッチフレーズを「近くて便利」に変更し、上質な品揃えと接客で「お客様から常に頼りにされる店」へと変化しています。それがめまぐるしく変化を遂げるコンビニのレイアウトや新商品展開、AI IoTの導入、セルフレジの導入、健康・医療サービス、高齢者へのサービス、エコな商品の開発などに見て取れます。
1.こういった日本社会が抱える課題点とコンビニの変化には密接なつながりがあり、その問題を解決する施策こそ、従事する「人」が描くべき経済戦略であり、5万8699店舗という小売業界世界No, 1を誇るコンビニが取り組む施策だからこそ、必ずや世の中の常識となっていきます。この経済戦略、働き方の新方程式への気づきを読者が得られます。
2.著者渡辺さんが、今までTVでは表現し切れていない、とっておきのリアルなコンビニ店長時代の体験エピソードを放出して頂きます。これは読み手にとって青春時代のコンビニを思い出す原風景であり、コンビニはそこまでするのか…と驚きの内容となっています。いい仕事を目指す人にとって、感動し涙すること間違いなしです。
この2点が本書の最大のおすすめポイントです。