大人になっても忘れたくない! イチローが少年野球時代に最も意識したこと
「内側の感覚」を最優先させて行動しよう!
■「理屈じゃないんです。体が感じるまま、求めるままにやる」
(少年時代の野球について聞かれて語った言葉)
現役時代のイチローほど「内側の感覚」を大事にしてバッターボックスに立つ選手を見つけ出すことは、困難だった。彼はデータではなく自らの本能に頼ることを最優先した。
つまり、真っ白な状態で本能だけを頼りにピッチャーの投げるボールに立ち向かっていったのだ。それは、多くのバッターがその日対戦するピッチャーの過去のデータや特徴を頭の中に叩き込んでバッターボックスに入るのとは、真逆である。
もちろん、ピッチャーの方も過去のデータでは予測できないような意外性のある球をバッターに投げてくる。だから、過去のデータに縛られると、本能の感度が鈍り、ことはうまく運ばない。そのことを、イチローは過去のキャリアを通して知っていた。
内側の感覚を磨くために、スポーツの現場で活用されているイメージトレーニングはいまだに私たちを成功に導く強力なスキルである。五感を総動員して頭の中で成功のシーンをリハーサルしておけば、本番でうまくいく確率が高くなる。
あるいは、F1レーサーや体操のオリンピック代表選手は危険なシーンを回避するリハーサルを頭の中で繰り返しイメージする。イメージを描くことが困難なとき、彼らが実際のアクションを取ることはない。「内側の感覚」を最優先させて目の前の作業を成功に導く。これはビジネスの世界でも通用する大切なスキルである。
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児玉 光雄
他人との比較ではなく、常に自分が定めた目標を基準として、偉大な記録を残してきたイチロー選手。「完璧主義」ではなく、あくまで自己ベストに徹底したその「最善主義」を、引退までの100の言葉から紐解く。巻末付録として、2019年3月21日に行われた引退会見全文も収録。スポーツ心理学のエキスパートである著者による、イチロー本の決定版。