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『三河物語』は戦国の1次資料などではなく、単なる老人のボヤキだ!

1次資料のごとく扱う人が多いが…

■論法はいつも同じ

 ここで、かつて大日本帝国は「侵略」をしたのかという話にも触れておきましょう。

 日本は李氏朝鮮に挑発されていますから、「Aggression」はしていません。明治初年以来、朝鮮はことあるごとに日本を挑発していました。時には清朝の軍隊を自領に招き入れ、日本の安全を脅かしてもいます。だから、日本が先制軍事攻撃をしても、国際法的には「Aggression(侵攻)」はしていません。同様に、漢語の意味での「侵略」もしていません。

 しかし、「Invasion (侵入、進入)」の後に「Seizure(獲得)」をしたのは事実です。「Invasion」にも「Seizure」にも道徳的な意味はなく、単なる動作を表す単語です。

 だから、「日本は韓国を侵略したのか?」と聞かれたら、「はい」とも「いいえ」とも答えられます。「Invasion」と「Seizure」はしましたが、「Aggression」はしていませんが正解です。ところが、「日本は侵略した」という人は、「Invasion」と「Seizure」の史料を探し出してきて、さも「Aggression」をしたかのように言いふらします。騙しのテクニックです。

「島津氏が琉球王国を侵略した」も、同様の論法です。

 大日本帝国も島津氏も今川氏も、やっていることは同じです。しかも、島津や今川の場合は戦国時代で、「侵略はされる方が悪い」時代ですから。国を奪われたものをかばう国際法など、当時は存在しませんし。ときどき、「日本は琉球を侵略した悪い国だ」と言う人がいますが、「今川は松平を侵略した悪い奴だ」くらいの意味しかありません。

 その点、三河武士団は偉かった。泣き言を言わずに生き残り、勝った後で歴史を好き勝手に書いているのですから。

『プロパガンダで読み解く日本の真実』より)

 

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倉山 満

くらやま みつる

憲政史研究家

1973年、香川県生まれ。憲政史研究家。

1996年、中央大学文学部史学科国史学専攻卒業後、同大学院博士前期課程を修了。

在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を務め、2015年まで日本国憲法を教える。2012年、希望日本研究所所長を務める。

著書に、『誰が殺した? 日本国憲法!』(講談社)『検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む』(光文社)『日本人だけが知らない「本当の世界史」』(PHP研究所)『嘘だらけの日米近現代史』などをはじめとする「嘘だらけシリーズ」『保守の心得』『帝国憲法の真実』(いずれも扶桑社)『反日プロパガンダの近現代史』(アスペクト)『常識から疑え! 山川日本史〈近現代史編〉』(上・下いずれもヒカルランド)『逆にしたらよくわかる教育勅語 -ほんとうは危険思想なんかじゃなかった』(ハート出版)『お役所仕事の大東亜戦争』(三才ブックス)『倉山満が読み解く 太平記の時代―最強の日本人論・逞しい室町の人々』(青林堂)『大間違いの太平洋戦争』『真・戦争論 世界大戦と危険な半島』(いずれも小社刊)など多数。

現在、ブログ「倉山満の砦」やコンテンツ配信サービス「倉山塾」(https://kurayama.cd-pf.net/)や「チャンネルくらら」(https://www.youtube.com/channel/UCDrXxofz1CIOo9vqwHqfIyg)などで積極的に言論活動を行っている。

 

 

 

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