トライより3点を選ぶ理由。ラグビー「ペナルティゴール」の思わぬ破壊力
「ラグビーのオモロイ観方」第8回
■ゴールを狙うキックか、ゴールを狙わないキックか
〈連載「ラグビーのオモロイ観方」第8回〉
福田 前回のロシアの戦い方のところでも出て来ましたけど、ラグビーってキックを使う場面が結構多いですよね。
大西 はい。ラグビーは「フットボール」と名前がつくだけあって、足でボールを扱うことが多いスポーツです。確かにキックの種類も様々ありますが、決して複雑ではありませんよ。目的や決まりごとに整理してみてみましょう。
福田 よろしくお願いします!
大西 まず「直接ゴールを狙うキック」です。
福田 あっいきなりすごいシンプル…前に話してもらったドロップゴールとかがこれ?
大西 そうです。他にもトライ後のコンバージョンキックやペナルティゴールもあります。
福田 ポールの間を狙うヤツですね。前回W杯では五郎丸選手がバシバシ決めてた印象があります。
大西 はい。ちなみにぼくも日本代表でゴールキックを任されていたことがありました。そして次の区分けが「直接ゴールを狙わないキック」。これは、ゲームの流れの中で陣地を前に進めたり、ボールの獲得するために蹴るキックです。
福田 ほうほう。気になっていたのはこれです! どんな種類がありますか?
大西 一番よく使われるのがパントキック。手から離したボールを直接蹴って、相手エリアの深いスペースを狙い、効果的に陣地を侵入することができます。これはロングキックで距離を稼ぐ目的。ですが、これ以外にもDFの頭を少し越える程度のショートキックも結構使われますね。
福田 自分でちょこんと蹴り上げたボールを追いかけて、そのままキャッチするやつですね。時々見るけどあれかっこいいよな~。
大西 はい。ほかにも自分だけでなく、味方と敵にボールキャッチを競わせるコンテストキックというのもあります。これは相手チームにボールを獲られたとしても、すぐにタックルを仕掛けられるのでターンオーバーできる可能性もあるのです。たかーく上げるのでハイパントとも呼ばれます。
福田 なるほど。どっちに転んでも、チャンスはあるわけか。
大西 その通りです。2つ目は、地面を這うようにボールを転がすグラバーキック。攻撃の際、相手ディフェンスの裏に出すことが多いキックですね。現在の日本代表もこのグラバーキックを多用しています。
福田 野球でいうゴロですね! 不規則に変化するボールをうまくキャッチして、そのままトライを決めるのは選手も観客も爽快感がありますよね。でも、あれってちゃんと狙ってるものなんですか?
大西 もちろん! ボールの跳ね返りもすべて計算してますよ。もちろん全部が思い通りにいくことはないですけどね。ただ、不思議と日ごろ努力している人に転がってくるもんなんですよ。
福田 ふ〜ん。そういうものなんですかねぇ(なんか急に自己啓発書みたいなこと言い始めたな…)。
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